英Sophosは1月30日(現地時間)、エジプト政府が講じているとされるインターネット遮断措置の影響で、エジプト発のスパムがほぼ消滅したとする統計を発表した。だが、世界的に見たスパム活動という観点では、ほとんど影響はないという。

エジプト政府はデモ・抗議活動の阻止を目的に、1月27日にインターネットを遮断するという措置に出た。措置はISPやモバイル事業者をひっくるめた全面的なものだが、8%を占めるあるISP1社は閉鎖を免れている(取引証券所をホスティングするためといわれている)。

エジプトのスパム動向を追っていたSophos Labsの研究者によると、1月28日と29日、エジプト発のスパムメッセージの量は85%も減少、ほぼ消滅した状態という。だが、これはスパム全体の量には大きな影響を与えておらず、世界的に見て、ユーザーが受け取るスパム量が大きく減ることはないだろうとしている。同社が今月初めに発表したスパム中継国ランキングでは、首位は米国で約19%、エジプトは上位12位に入っていない。

エジプトでは、近隣国チュニジアで先に起こった政変を受け、「Facebook」「Twitter」などのインターネット上のソーシャルネットワークやモバイルを利用して市民が結集、デモ活動が起こり、治安部隊と衝突するなど大きな事件に発展している。エジプト政府のネット遮断は、こうした動きを封じ込める目的とみられている。

エジプトから発信されたスパムの量をデイリーで追ったグラフ。27日のネット遮断後、スパムの数は激減している(出典: Sophos)