NEC 取締役 執行役員専務 小野隆男氏

NECは1月27日、2010年度第3四半期の連結決算を発表した。これによると、同四半期の業績は、売上高が前年同期比12.7%減の7,207億円、営業損益が前年同期比60億円増の135億円の赤字、経常損益が前年同期比205億円増の270億円、純損益が前年同期比169億円増の265億円だった。

セグメント別の結果は、売上高は、ITサービス/プラットフォーム/その他が前年同期比減、社会インフラ/キャリアネットワーク/パーソナルソリューションが前年同期比増となった。その他の売上高の大幅減はNECエレクトロニクスが連結から切り離されたことによるもの。

営業損益は、キャリアネットワークとその他のみが前年同期に比べて増加で、それ以外のセグメントはすべて前年同期比減となっている。

2010年度第3四半期連結決算概要

セグメント別の結果

ITサービス事業は国内のIT投資の回復遅れ、大型案件減少の影響から減収となった。また、売上減と価格競争の激化から減益となった。売上高は前年同期に比べて166億円減の1,710億円、営業損益は前年同期に比べて100億円マイナスの66億円だった。

同氏は厳しい結果となったITサービス事業について、「ITサービスの通期の予測は変更していないが、非常に厳しい状況にある。ITサービスは残念ながら国内ビジネスが中心で、顧客である日本企業には今のところ景気の回復感がない。来年も前半は厳しいが、後半には回復すると見ている」と説明した。

SI事業はスマートフォン向けサービス基盤などトレンドに合った提案を強化し、サービス事業では「RIACUBE-V」によりプライベートクラウドの需要の取り込みなどを行っていく。

前期は減収減益だったキャリアネットワーク事業だが、今期は増収増益に転じた。同氏はその理由について、「トラフィック増加への対応が堅調など、ワイヤレスブロードバンドアクセスが好調だった。また、海洋システムも大型プロジェクトがクロージングして売上が計上されるほか、今月に大型契約が決まるなど、回復の見込み」と述べた。

レノボとの合弁会社設立が発表されたPC事業を含むパーソナルソリューション事業は、売上高は前年比163億円増の1,930億円だったが、増益から減益に転じて51億円減の16億円の損益となった。カシオ日立モバイルコミュニケーションズとの携帯電話事業の統合から増収となったが、モバイルターミナルの減益と新端末開発費用の増加から減益となった。

新端末の開発については、「現時点で、当社からスマートフォンが市場に出ていないことからも対応が遅れていることは明らか。その理由としては、時代を読み違ったとしか言えない」と同氏。海外市場にはAndroid搭載のスマートフォンの年度内の投入が予定されており、国内市場は「そう遠くない時期」(同氏)に投入できるという。