昭和電工および昭和電工パッケージングは1月20日、リチウムイオン2次電池(LIB)用電極の低抵抗化を可能とするカーボン下地アルミ箔「SDX」の量産開始を発表した。電工および昭和電工パッケージングは1月20日、リチウムイオン2次電池(LIB)用電極の低抵抗化を可能とするカーボン下地アルミ箔「SDX」の量産開始を発表した。

LIBは正負極で発生する電気を集め、外部へ取り出すために、負極、正極それぞれに集電板と呼ばれる構造を持ち、正極ではアルミ箔、負極では銅箔が使われている。近年、安全性が高く、長寿命であることから、大型LIB用の正極材料としてオリビン型リン酸鉄リチウム(LFP)が注目を集めているが、LFP系の正極材料は電気抵抗が高く、集電板であるアルミプレーン箔との接触抵抗が大きくなるため、急速充放電を行う場合、LIB自体が発熱する危険性があった。また、LFP系の材料はアルミプレーン箔との密着性が悪く、均一に正極材料を塗工するのが難しいという問題もあった。

LIB電池の概念図

SDXはアルミプレーン箔上に導電性カーボンを独自技術により塗工することで、正極材と集電板との接触抵抗を既存のアルミプレーン箔比で約50%低減することが可能であり、これにより、急速充放電特性の指標の1つであるレート特性も従来比で30%以上改善することができ、大電流の急速な充放電を可能にする。また、集電板との密着性は従来比で1.5倍に改善されており、カスタマでの生産性の向上も期待できるという。

SDX箔の外観写真

なお、同製品は、一部のカスタマに向けて大型LIB用電極として限定的に提供してきたが、製品特性の改善が進み、カスタマからの評価も良好であることから、本格的な販売を決定したとしており、2015年には同事業で50億円の売上高を目指すとしている。