Freescale Semiconductorは、同社のプログラマブル・ベースバンドDSPの処理能力を従来品比で2倍以上に高めた次世代DSP「MSC8157」および「MSC8158」の2製品を発表した。2製品ともに2011年第1四半期に一部のカスタマ向けにサンプル出荷を開始する予定となっている。

2製品は45nmプロセスを採用し、同社がこれまで提供してきたDSP「MSC8156」の次世代製品に位置付けられるもので、1.2GHzで動作する同社「SC3850コア」をベースとしている。SC3850コアは信号処理技術分析機関であるBerkeley Design Technology(BDTI)の評価において、これまでにテストされたあらゆるDSPアーキテクチャの中で固定小数点処理に関する最高となる「18500」というBDTIsimMark2000スコアを達成している。

MSC8157は広範な3G/4G無線通信規格をサポートし、3G-LTE 20MHz帯域幅で最高レベルの処理能力を提供し、ダウンリンク300Mbps、アップリンク150Mbpsの通信速度、ダウンリンク4×4、アップリンク2×4のMIMOを実現するほか、さまざまな干渉除去方式を備えており、数百人単位のユーザをサポートすることが可能。また、ダウンリンク42Mbps、アップリンク11Mbpsの複数WCDMAセクタ、ならびに3G-LTEおよびWCDMAのマルチモード同時処理をサポートする。

さらに、ハードウェア・アクセラレーション機能として、FEC、FFT/DFT、MIMO MMSE(最小平均2乗誤差)、柔軟なMLD(最尤復号器)イコライザ、ならびに浮動小数点演算による逆行列演算およびIRC(干渉除去結合)レシーバを備えている。

一方、MSC8158はコスト面で最適化されており、WCDMAネットワーク向けに効率的かつ優れた処理能力の基地局展開を実現可能で、高速DDRインタフェース、豊富な内部メモリ、CPRI(Common Public Radio Interface)6Gアンテナ・インタフェース、ならびに2つのSerial RapidIO Gen2を備えており、高性能なメッセージ機能に対応しつつ1レーンあたり5Gの性能を実現することができる。

また、2製品ともに演算処理やベースバンドの高負荷タスクの多くを拡張版MAPLE-B2ブロックにオフロードできるため、プロセッサの6コアを他のタスク処理に専念させることが可能だ。たとえば、MAPLE-B2ブロックで浮動小数点MIMO処理を実行できるので、浮動小数点DSPコアによる実装に比べレイテンシを改善することができるほか、MAPLE-B2ブロックを活用することで、単一のハードウェア・プラットフォームでマルチモード動作が可能となり、シンプルなソフトウェアの切り替えで無線通信規格を追加することが可能となる。

なお、同社では、機器メーカー各社による製品市場投入を加速させるため、高度な最適化コンパイラ技術を搭載した「CodeWarrior」開発ツール・スイート、評価ボード「MSC8157ADS」、ならびに3G-LTEおよびWCDMA向けに最適化されたソフトウェア・カーネルを提供している。