Freescale Semiconductorは、同社の各種プラットフォームに対応する組み込みマルチコア・ソフトウェアの開発を効率化するべく、スコットランドCriticalBlueとの提携関係を拡張することを発表した。

これによりCriticalBlueが提供する開発環境「Prism」が、Freescaleの「QorIQ」および「Power Architectureテクノロジ」をベースとするマルチコア製品をサポートするほか、1コア製品をターゲットに開発されたソフトウェアをマルチコア・プラットフォームに移植できるよう支援し、ソフトウェア移植後に並列処理性能を引き出すためのツール、拡張機能およびメソッドの共同開発も進めていくとする。

この提携関係の拡張により、Freescaleでは、Freescaleの専用QorIQアクセラレータをフル活用しながら、同時にオンチップ・コアの性能を最適化する開発が可能になるとするほか、ユーザはキャッシュ動作やオンチップ・コアのパイプライン、オンチップ通信メカニズムなどのアーキテクチャの影響を正確に評価できるようになると説明している。

Prismは、Eclipseベースの組み込みマルチコア・プログラミング・システムで、ソフトウェア開発フローに大きな変更を与えないで、マルチコア・プロセッサの能力を見積もり、実現することができるというもの。ハードウェア開発ボードや仮想マシン、プラットフォーム・シミュレータ上で動作するコードの振る舞いを解析し、ユーザは既存のシーケンシャルなコードに変更を加える前に、並列化できる部分を探し出して分析することが可能となる。

また、CriticalBlueによるFreescaleプラットフォームのサポートは、代表的な8コアQorIQ「P4080」だけでなく、さまざまなQorIQおよびPower Architecture製品まで拡張される。これにより、ソフトウェア開発者は、自動車や産業、通信、ネットワーク、マルチメディアなどさまざまな専門市場において、既存の1コア・ソフトウェア・アプリケーションをFreescaleの現在および将来のマルチコア・プラットフォームに容易に移植し、最適化し、検証することが可能となるとしている。

なお、Prismは、数種類のFreescale製品に対応するバージョンがすでに出荷されているほか、CriticalBlueツールの拡張バージョンは、2011年に出荷を開始する予定となっている。すでに、Power ArchitectureベースのQorIQプラットフォームに対応するPrismの30日間無料の評価版も用意されており、同社のWebサイトからダウンロードすることが可能である。