Salesforce.com 会長兼CEO Marc Benioff氏

Salesforce.comは12月7日(現地時間)、企業向けソーシャルメディア「Salesforce Chatter」のラインアップの拡充を発表した。年次ユーザー&デベロッパーカンファレンス「Dreamforce 2010」の基調講演では、会長兼CEOのMarc Benioff氏が同サービスの紹介を行った。

同氏は「クラウドコンピューティングがモバイルとソーシャルネットワーキングによって新たなフェーズ"Cloud2"にシフトした」としており、Cloud2を具現化する製品の1つが「Salesforce Chatter」である。同サービスはプロファイル、ステータスの更新、リアルタイムフィードといったソーシャル機能を提供する。昨年のDreamforceで発表され、トライアルによる利用を経て、今年6月に正式リリースされた。

今回発表されたのは、「Chatter Free」と「Chatter.com」。Salesforce Chatterの利用条件がSalesforce CRMもしくはForce.comのユーザーであることに対し、Chatter Freeは企業としてSalesforce CRMもしくはForce.comを利用していれば、自身がSalesforce.comのユーザーではなくても利用することができる。

同氏は、「Chatter Freeの使い方は簡単。同僚が招待状を送るか、もしくは、管理者が自動的にプロビジョニングするだけで利用可能になる」と説明した。同社としては、同社のサービスを利用していない従業員を含め、企業全体でChatterによるコラボレーションが促進されることを狙っている。

企業でSalesforce.comを利用していれば、Salesforce.comのユーザーでなくても利用できる「Chatter Free」

なお、同サービスで利用できる機能は以下のように限定されている。Salesforce.comを使っていないユーザーがさらに取引先や事例、ダッシュボード、レポート、カレンダーをフォローしたり、カスタムオブジェクトやChatter APIを利用したりするには、有償の「Chatter Plus」を利用する必要がある。

  • プロファイル
  • ステータスの更新
  • リアルタイムフィード
  • ファイル共有
  • グループ
  • フィルタ
  • 招待
  • Chatter Mobile
  • Chatter Desktop

さらに同氏は、来年2月には同社のサービスを利用していないユーザーが無償で利用可能な「Chatter.com」をリリースすることを明らかにした。同サービスを利用する際は、Webサイトで直接登録を行えばよい。

Chatterのラインアップ

ただし、同社はChatterを企業向けのソーシャルメディアとして位置付けているため、FacebookやTwitterのように個人間でコミュニケーションを図るのではなく、企業の部門やグループが利用することを想定している。

同氏はDreamforceの基調講演で、Chatterの導入事例として、グローバルで10万人が利用するDellを挙げ、DellのCEOであるMichael Dell氏が「We love Chatter」と言っていることを紹介した。