グーグルは12月6日、同社が提供する動画共有サービス「YouTube」において、NHKエンタープライズとコンテンツライセンス契約を締結したと発表した。同日より、YouTube内に「NHK番組コレクション」を開設。ノーカットの「NHK特集」などが無償で視聴できるようになっている。

NHKエンタープライズ ライツ・アーカイブスセンター長 上席執行役員の関本好則氏

グーグルとNHKは、2008年5月に提携。NHKオンラインに掲載されている動画などをYouTube上で提供してきたが、そちらは予告等に使用するような短時間の動画が中心で、広報活動的な意味合いが強かったという。それに対して今回の提携では、NHK特集やミニ英会話などのコンテンツをノーカットで提供。TV放映と同様の動画がすでに約200本公開されている。

NHKでは有償の動画視聴サイト「NHKオンデマンド」も運営しているため、YouTube上で公開されるのは、NHKオンデマンドにアップロードされている番組を除いたものの中からNHK側でピックアップしたものになる。ただし、大河ドラマ「篤姫」などの人気コンテンツに関しては、3分程度に編集した短編動画を作成してYouTube上にアップロードしていくという。

NHK番組コレクションの概要

NHKエンタープライズ ライツ・アーカイブスセンター長 上席執行役員の関本好則氏は、「Web上で公開する際には、NHKはもちろん、作家や役者、日本レコード協会など、権利者全員の許諾をもう一度取り直す必要がある。この問題をクリアすることがYouTubeでの公開の第一条件となる」と説明し、公開までに相応のプロセスが必要になることを強調。そのうえで、そうした手間がかかるにもかかわらずYouTube上に動画を公開する目的について、「YouTubeには普段NHKの番組を見ないユーザーが数多く存在するので、そういったユーザーにリーチすることが最大の目的。また、新しいメディアにNHKのコンテンツを出したときに、どういうことが起こるのかを確かめるための実証実験という意味合いもある」とコメントした。

なお、YouTubeでは、「コンテンツIDプログラム」と呼ばれる著作権保護システムを提供している。同プログラムの管理ツールを使用すると、クローラーがYouTube上の動画を精査し、正規の著作権保有者がアップロードしたものと同じ内容が含まれる動画を抽出することができる。NHKでは、すでに公開済みの動画に対してこのツールを適用しており、「相当の数の違法コンテンツを削除することができた」(関本氏)という。

NHKの動画が見られるのは国内からのアクセスのみ。また、現在、視聴デバイスはPCのみに限定している。公開コンテンツは今後も追加していく方針で、すでに「プロジェクトX 挑戦者たち」、「きょうの料理」、「ためしてガッテン」などが公開予定動画に名を連ねている。

今後公開予定の動画