パーソナルメディアは、日本の漢字の活字字体の典拠とされている漢字字典『康煕字典(こうきじてん)』の「安永本(あんえいぼん)」をiPad用の電子書籍としてリリース。価格は4,800円。

iPad版電子書籍『康煕字典 安永本』

康煕字典は、中国、清の時代に四代皇帝康煕帝の命により張玉書、陳廷敬ら30人が約5年を掛けて編纂し、康煕55年(1716年)に完成。

明治以来の漢字の活字字体の典拠であるという意味で、国語学的には極めて重要なものとされている。2010年11月30日に内閣告示された新しい常用漢字表の中でも、明治以来行われてきた活字の字体とのつながりを示すために、参考としていわゆる康煕字典体が添えられている。

また、常用漢字表に含まれない漢字も、基本的には康煕字典の字体を拠り所とするように、2000年12月の国語審議会などで答申されている。

しかし、現状では康煕字典は現在国内の出版社からは販売されておらず、中国関連の専門書店や古書店などでしか入手できない背景を受け、同社が電子書籍版を開発し、商品化するに至った。

今回採用された「安永本」は、江戸期日本で翻刻されたもので、初版は中国の康煕字典発刊の64年後、安永9年(1780年)に刊行。日本の康熙字典考証の先駆けである都賀庭鐘(つが ていしょう)の「字典琢屑(じてんたくせつ)」の一巻が追加され、全41巻で構成されており、親字に読み方がカタカナで補われ、訓点と送り仮名を振った木版を新たに起こしてあるので、専門的な知識が無くても比較的読みやすいのが特長となっている。

iPad版の同書では、「安永本」の全ページを収録。「目次・部首一覧」から各巻の該当ページに直接ジャンプするリンク機能のほか、全収録文字をパソコン用の文字で書き起こした「収録文字一覧」が付属しているので、康煕字典の字形と現在の漢字の字形とを比較して確認が可能。

価格は4,800円で詳細はこちらより。