NECは、顔画像を光学的に解析することで、顔の表情や質感など自分らしさを活かしつつ、思い通りの美しい肌色を表現できる顔画像処理技術を開発したことを明らかにした。

従来の顔画像処理技術では、美白などの一見美しく見える肌の色を表現することができたが、鼻の陰など顔の暗い部分まで明るくなるなど、顔の立体感や質感が損なわれ、表情が失われてしまうといった、不自然な顔画像に補正されてしまうという課題があった。

今回、同社では顔画像における肌の色情報を、拡散反射成分(本来の肌の色)、表面反射成分(艶)、陰影(立体感)の3つの成分に分解し、それぞれを制御。本来の肌色を理想の肌色に近づけるとともに、顔の表情や質感に影響する艶と立体感は正しく保つことで、自分らしさを活かした美肌を実現した。

また、通常、顔の3次元形状を利用して計算される拡散反射成分を、顔のぼかし画像を利用することで精度良く推定する技術を開発。これを、肌の色情報の分解処理に適用することで、3次元形状を利用する場合と比べ、品質を損なうことなく約75倍の高速化を実現した。これにより、比較的演算性能の低いCPUを用いる組込機器でも1Mピクセルあたり390msの高速処理(ARM11 865MHz時)が可能となった。

人物画像は、カメラの撮影対象の30%以上を占めており、撮影対象を美しく記録・再現したいというニーズは高く、高品質な顔画像を実現する技術が待ち望まれていた。今回、同社が開発した技術を用いることで、携帯電話やデジタルカメラ、プリンタなどの組込機器や、SNSにおけるWEBフォトサービスにおいて、ユーザーが撮影した顔画像を自動的に美しく見せることが可能となる。

なお、NECでは今後も、画像処理技術の研究開発およびさまざまなアプリケーションの開発に取り組んでいく計画としている。