ルネサス エレクトロニクスは、LED照明向けにシステムコスト低減、高効率、高力率を実現可能なLEDドライバIC「R2A20134」を製品化し、サンプル出荷を開始した。サンプル価格は80円で、2011年3月から月産300万個の規模で量産を行う計画。

LEDドライバIC「R2A20134」

同製品は、独自の降圧制御を採用することで、ドライバICの出力電圧を下げられるため、LED駆動用MOSFETの耐圧を通常の700V耐圧に対して500V~300Vのものに下げることが可能だ。

また同降圧制御および、臨界モード方式を採用することで、LED駆動用MOSFETのターンオン時のゼロ電流スイッチング、およびドレイン-ソース間電圧が低い状態でのスイッチングが可能となっている。このため、スイッチング損失の低減により効率92%を実現可能なほか、臨界モードスイッチングにより、少ない外付け部品で力率改善(PFC)制御も可能となり、力率値0.9以上を実現することが可能となっている。

さらに、LED制御システムのさまざまな方式(バックブースト制御、平均電流制御、ピーク電流制御、入力電力一定制御など)に対し、構成を変えることで柔軟に対応することが可能だ。

加えて、一定電流制御のためのフィードバック端子をトライアック位相に合わせた電圧で制御することで、トライアック調光制御にも対応が可能なほか、駆動用MOSFETも各要求電力、性能に合わせて提供すると同社では説明している。

また同社は、同製品の発表に併せて照明器具向けのコンソーシアムであるDALI(Digital Addressable Lighting Interface Activity Group)への加入と同社8ビットマイコン「78K0/IB2」を搭載し、LED照明設計向け評価用ボード「EZ-0011」を発表した。

DALIは、照明用通信規格「DALI」と、同規格搭載の照明器具の普及を推進する目的で、主要照明器具メーカー、関連研究機関により欧州で設立されたコンソーシアム。同社は、半導体メーカーとして初めてDALIに加入し、"DALI"対応の通信機能を内蔵したマイコンなどの提供を行っていくことで、さまざまな照明器具における"DALI"普及の促進を目指す。

"DALI"は、オープン標準の照明用通信規格であり、ネットワークに接続された照明器具を自動制御し、ビルオートメーションシステムに組み込まれる調光機能、色調調整機能、障害検出機能などを実現することが可能。また、照明器具の電子安定器のインタフェースを標準化することで、安定器のメーカーが異なっても、安定器間で機能互換性を持たせることが可能となる。

一方のEZ-0011は、シーリングライトやベースライトなどLEDを使った主照明システムを、78K0/IB2を使って実現した評価ボードで、2011年3月より販売開始が予定されており、価格は34800円としている。

ソフトウェアの変更により柔軟に設定を変えられるためさまざまな構成の照明に対応可能なLED照明向けプラットフォームとして利用できる。最大3チャネル、合計60WまでのLEDの独立調光制御を評価可能なほか、LED接続用コネクタを搭載しているため、任意のLEDを接続して評価することも可能だ。AC電源電圧としては100~240Vを入力して全世界の電源に対応したPFC制御を評価可能となっている。

また、入力インタフェースとしてDALI通信用コネクタとDMX512通信用コネクタを搭載しているため、スタンドアロン動作だけでなく通信によるスレーブ動作の評価が可能なほか、通信マスタとして自社の照明通信マスタ評価ボード「EZ-0008」を使用可能であり、通信評価の環境構築を容易に行うことが可能となっている。

LED照明システム向け評価ボード「EZ-0011」(ET2010にて撮影)

LED電球向けリファレンスボード「R2A20134EVB」(ET2010にて撮影)

さらに、同社のソフトウェア自動生成ツール「Applilet EZ for HCD」に対応しているため、調光制御やPFC制御、DALI通信やDMX512通信、スタンドアローン動作に対応したサンプルプログラムの自動生成が可能。生成したプログラムをボード上のマイコンが内蔵するフラッシュメモリへ書き込むことで、ソフトウェアを独自で開発することなく評価ボードの動作を確認できるようになっている。