海外時間概況

海外時間においては、週末における黄海における日韓合同演習に対する懸念、欧州周辺国の懸念が重しとなり、株式市場は軟調に推移し、為替市場ではドル買い・円買いの展開となった。

株式市場においては、年末のクリスマス商戦に対する見通しや、アイルランドがEUからの支援を受け入れる方向になったことから、多少なりとも反発したものの、マイナス圏のまま終了。ただ、FTドイツ版においてポルトガルに対して、欧州小国が支援を求めるよう要請するといった内容が載ったことから、市場の焦点がアイルランドに加えてポルトガル、さらにはスペインがさらにクローズアップする構図となった。欧州当局者からは、否定的なコメントが出てきたが、効果は限定的。

為替市場は、NY時間に入ってからは、ドル買いが優勢となった。欧州および朝鮮半島情勢に対する警戒感から、消去法的にドル買いが進み、ドル円は84円台に上昇し、ユーロは対ドルで1.32台にて定着した。

主な経済指標予定

・08:50 (日)10月商業販売統計

・19:00 (ユーロ圏)11月景況感・業況感指数

・N/A (欧州)欧州委員会 経済見通しを発表

要人発言予定

・13:45 (日)白川日銀総裁 記者会見

・18:40 (豪)スティーブンスRBA総裁 講演

・27:30 (米)ブラード・セントルイス地区連銀総裁 講演

・29:00 (米)バーナンキFRB議長、ピアナルト・クリーブランド地区連銀総裁 ディスカッションに参加

アジア時間の見通し

週明けの市場は、リスクに対して神経質ながらも、比較的落ち着いた展開になるか。

週末にEUはアイルランドに対する支援を決定したが、アイルランド国内の金融機関の再生・議会承認手続き等が控えている。その上、市場の焦点は、ポルトガルなど他の周辺国にまで広がっていることから、ドイツ経済一国が好調でも株式市場における警戒感は根強い。

そして、アジア時間において注目(いや24時間注目か)されるのが朝鮮半島情勢。

米韓軍事演習は予定通り行われており、北朝鮮も警戒態勢をあげている模様。中国が6ヶ国協議の再開を促しているが、米韓双方とも否定的なスタンスを取っている。新たな衝突があるのかどうかは、北朝鮮次第という不安要素は市場心理にはマイナス要因。

また、中国当局の引き締め姿勢が中国の株式市場において重石となっていることから、アジア地域からの一時的な資本回避が入りやすい地合いになろう。経済・地政学上リスクという双方の点で、上値を抑える展開となりやすく、HS株価指数においては今年の安値からの上昇で見た38.2%である22540台を維持できるかどうかがポイント。割り込んだ場合には、200日移動平均線までの調整リスクが高まりやすいとみる。その場合、日本の株式市場にとっても重石となろうが、ドル円が84円台に回復していることから、どの程度輸出関連銘柄で相殺できるかどうか。

そして、為替市場においては、消去法的にドル買いが進みやすいか。

欧州に対する懸念は引き続きくすぶっていることから、ユーロの戻りは鈍い。また、中国資本市場に対する懸念から、オーストラリア経済に対する影響が豪ドル(AUD)の重石となっている。その上、先週金曜日のRBA総裁のコメントから、市場が多少なりとも期待していた政策金利引き上げの時期が遠のいたこともファンド筋からのポジション解消を促している模様。これらの展開から、ドルが買い戻されているが、ドルが積極的に好感されているということではない。

感謝祭明けのブラック・フライデーの売り上げも前年比わずかとなっていることから、依然消費者心理の慎重姿勢は崩れておらず、今週の米雇用統計に向けたイベントリスクに対する警戒感はある。短期筋のドル買いから利益確定の動きが出てくる可能性は否定できない。

いずれにせよ、欧州関連ではリスク回避の点で円が好感され、地政学上リスクからドルが好感されるというシーソーゲームの中で、ドル円はもみ合いながら上昇する地合いになろうか。