PCI-SIG、PCI Express base specification 3.0完成をアナウンス

米PCI-SIGは11月18日(現地時間)、PCI Express Base Specification 3.0(PCIe base 3.0)がリリースされたことをアナウンスした。PCIe base 3.0は信号速度を従来の1.6倍の8GT/sにすると共に、エンコード方法を従来の8b/10bエンコード(8bitのデータを10bitに変換して送信する方法。受信側は逆に10bit分を受信して8bitのデータを取り出す)から128b/130bエンコード(同じく128bitのデータを130bitに変換して送信する。受信側は130bit分から128bitのデータを取り出す)に変更することで、実効転送効率を従来の500MB/sec/Laneから1GB/sec/Laneに向上させた規格である。

元々PCIe 3.0は2007年に策定作業に入っている。当初は現行のPCI Express 2.0(5GT/s)の倍の10GT/sにすることを考慮したものの、割と早いタイミングでこれは難しいと判断。もう少し信号速度を落とすべく8GT/sを選択し、ただこのまま従来の8b/10bエンコードを使うと実効転送速度が800MB/sec/Laneになってしまうため、8b/10bエンコードも廃止するという決断を2007年8月8日にアナウンスしている。この直後のインタビューでは、まだ128b/130bエンコードを使うことは決まっていなかったが、翌年のPCI-SIG DevConでは128b/130bエンコードを使うことも決定している。

ただしここからかなり策定作業はかなり難航することになる。2007年8月ではRevision 0.3だったものは、翌年Revision 0.5となるが、ここからRevision 0.7に移行するまで半年以上遅れ、しかも通常だとそこからRevision 0.9に移行するはずが、間にRevision 0.71を挟むことになり、ここでも更に半年近い遅延が発生した。もっともそこからの進展は早く、8月にはRevision 0.9がリリースされ、60日のレビュー期間を経て11月にやっと1.0に達した事になる。

この遅れは何によるものか、というとやはり8GT/sという信号の取り扱いが難しかったことだ。純粋に技術的な観点で言えば、8GT/sは既にそれほど高速な信号ではない。例えばSingle EndedのGDDR5ですら既に6GT/sに達しているし、Differentialな信号でもRAMBUSはXDR2で16GT/sの動作デモを行っている。ただし厄介なのは、これを標準的な(=特定企業が特許として保有する技術を使わずに)実現しなければならなかった事で、これを実現しようとするとかなり回路構成やパラメータに注意を払わなくてはいけないという縛りがあったようだ。Revision 0.5→0.7で予想以上に遅れたのは、こうした技術的な困難さを克服するのに時間が掛かった、という事だそうだ。

では0.7→0.71では? というと、Revision 0.7で実証シリコンを製造して測定を行ったところ、較正の問題が発見されたからという事だそうだ。もう少し正確に書けば、Revision 0.7をベースとしたシミュレーションと実証シリコンで波形の相違が確認され、それが最終的に較正の問題であると判明したため、これに対応して新たにDFE(Decision-Feedback Equalization)と呼ばれる補正メカニズムを追加したほか、幾つかのパラメータをより厳密に設定することで問題を解決できたということだが、当然この確認にはRevision 0.71に準拠した実証シリコンを製造する必要があり、そうなると当然数カ月の遅れがでることになる。そうした意味では、かなり難産だった訳だ。

さて、そんな訳でPCIe Gen3の仕様は決まったが、これが普及するにはもう少し時間が掛かりそうだ。というのは、Gen1/Gen2の世代では、Intelがかなり標準化に熱心であり、率先して検証プラットフォームを用意したり、かなり早い時期からグラフィックスカードベンダーに働きかけを行うなどの動きを見せていたが、現時点では? というと少なくともSandy Bridgeの世代でPCIe Gen3対応になるのはサーバ向けのみで、デスクトップやモバイルはGen2のまま推移しそうだ(このあたりはノースブリッジ機能をCPU側に取り込んでしまった事の問題点だろう)。ということはデスクトップ/モバイルに降りてくるのは早くても次世代、つまりIvy Bridgeの世代で、2011年末か2012年のあたりだろう。グラフィクスカードの側も、AMD/NVIDIAともにPCIe Gen3に直近で対応するという話は聞こえてこない。こちらも恐らくは28nmプロセスに移行する来年末あたりからになりそうで、そんなわけで一般ユーザーがPCIe Gen3を手にするには更にあと1年はかかりそうである。

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