本企画は「iPad*iPhone Fan」からの転載です。(2010年11月7日掲載)

iPadからWindowsパソコンを操作するリモートデスクトップツール『Splashtop Remote Desktop』(230円)が話題を集めている。iPadを買ったはいいが、いまひとつ用途を見出せない……という人は、iPadの新たな使い道として試してみる価値はありそうだ。

『Splashtop Remote Desktop』を使うとWindows PCにアクセスできる

iPadからパソコンを操作できると何が変わる?

Splashtop Remote Desktopは、iPadからWindows PC(7/ Vista/ XP)をリモートコントロールするためのアプリだ。手元のiPadのディスプレイに、ネットワーク接続したWindows PCのデスクトップ画面がストリーミングで表示され、離れた場所にあるパソコンをタッチ操作で動かすことができる。iPadからWindows上のファイルやアプリケーションを利用できるようになるわけだ。

iPadのディスプレイに表示されたWindowsのデスクトップ画面

たとえば、iPadのSafariでは利用できないFlashゲームやFlash動画をWindows経由で楽しむ、iPadにはコーデックのない動画ファイルやiPadからは直接アクセスできないNAS上の動画ファイルを再生する、Windows用テキストエディタで文章を作成する(一部アプリで日本語入力不可)、といったことができる。動画の場合、iPad内蔵スピーカからの音声出力に対応している。開発元のSplashtopによれば、ホスト側のWindows PCの性能に依存する面はあるが、デュアルコアCPU 1.6GHz以上の環境であればスムーズな利用が可能だという。

iPad上からWindowsの各種ファイル、アプリケーションを開くことができる

使い方は簡単だ。iPad側に『Splashtop Remote Desktop』、同社サイトで配布しているホストPC用サーバツールをWindows PC側にインストールする。あとはサーバツールを起動しておき、Splashtop Remote Desktopを起動すると接続可能なPCが表示されるので、選択して接続すればよい。操作対象となるPCは基本的に家庭内LANなど同一ネットワーク内のものとなる(ポート設定により外部からのアクセスも可能)。接続確立後は、マウス操作がタップ操作に代替され、タップがクリック、ホールド(長押し)で右クリックのほか、ドラッグ操作によるスクロールやキーボード表示などが行なえる。なお、iPad⇔PC間でのファイルコピー/移動は不可能だ。

iPadからアクセスする場合は、Windows PC側の専用ツールを起動しておく。同ツールではポート設定も変更可能だ

『Splashtop Remote Desktop』を起動すると、ネットワーク上のアクセス可能なPC一覧が表示される。アクセス用パスワードは設定可能

大きな期待を持って購入したiPad。でも、結局のところ使い道がさほど……と思っていた人は、『Splashtop Remote Desktop』を使ってみてはいかがだろうか。iPadからWindows PC上のファイルやアプリケーションにアクセスできることは大きな利便性といえるだろう。

Mac OS X対応、VPN接続サービスの提供なども

さて、Splashtop Remote Desktopを使っていると、いくつか期待したい点が出てくる。Mac OS X対応とインターネット経由での利用(面倒な設定無しに)だ。本アプリを開発、販売するSplashtop Inc.(旧DeviceVM)に伺ってみた。

SplashtopでCSOを務めるクリフ・ミラー氏は、Linux Foundation中国支部総裁であり、TurboLinuxの共同設立者でもある。なお同社は、ネットブックなどでも使われるOS「Splashtop」も手がている

まず開発の経緯だが、クリフ・ミラー CSOによると、同社開発者がFlash形式のブラウザゲームをiPadで遊ぶために着手したのが始まり。そこから利便性を追求してアプリを完成させた。「iPadを持っている人の多くはメインPCも持っている。音楽や映像、ドキュメントなどはメインPCに保管し、タブレットデバイスでそれらを参照することがあるが、むしろPCのデスクトップに直接アクセスできるほうが便利なのではないか」(同氏)

確かにそういったニーズはあるようだ。Splashtop Remote Desktopは日本や韓国、英国などのApp Storeで1位を獲得している。今後は、iPhoneやAndroid搭載端末など対応デバイス、利用環境を拡大していくという。その過程でMac OS X対応やVPNによる接続サービスも予定している。

「Mac OS X対応版については、ベータ版を一カ月以内に出す予定」(同氏)。アルファ版という前提でMac OS X対応版のデモを確認したが、MacBook上の動画ファイルを音声ともにスムーズに再生できていた。iPhoneとiPod touchには3~6週間ほどで対応していく。

Mac OS対応版。MacBook上で再生された動画がiPad上でもスムーズに鑑賞できていた

また、今後はセキュリティ強化を図り、VPN接続による外部からのリモートコントロールサービスを提供していくという。ファイアウォール内の職場PCなどにiPadやiPhoneから手軽にアクセスすることが可能になる。サービス開始時期は「間もなく」。利用料などについては未定。反応速度などパフォーマンス面でも常に改善していき、GPU利用による高速化も検討していくとしている。