KDDIは、デザイン性を高めた「iida」ブランドの携帯電話として、イタリアのブランド「ALESSI」とコラボレーションしたコンセプトモデル「iida and ALESSI」を発表。10月30日から東京ミッドタウンで開催される「DESIGNTIDE TOKYO 2010」にiida and ALESSIと11月5日発売予定のiidaブランドの新モデル「X-RAY」を出展する。

10月29日、DESIGNTIDE TOKYO 2010への出展を前に報道関係者向けにiida and ALESSIが公開された。iida and ALESSIの商品化は現時点で未定だが、基本的には商品化を前提とした取り組みだという。

ALESSIとコラボレーションしたスマートフォン

KDDIのiidaは、Innovation、Imagination、Design、Artという4つのキーワードの頭文字を取って名付けられたブランドで、特にさまざまなデザイナーと協力してデザイン性などに優れた携帯電話を送り出してきた。

これまでのiidaのラインナップ

KDDIは、新たにイタリアのALESSIと連携し、初めてブランドとコラボレーションしたiidaブランドのコンセプトモデルを作り上げた。ALESSIは、1921年に設立され、現在は200人以上のデザイナーを抱えるブランドで、今回「iida and ALESSI」としてMarcel Wanders氏、Stefano Giovannoni氏、Patricia Urquiola氏の3人をALESSI側が提案し、それぞれ3種類の端末を開発した。

Wanders氏が開発したのは「貴金属を思わせる、芸術的スマートフォン」という端末。フルフラットの画面に、背面には彫刻のような加工が施されている。スケルトン素材のボディで独特の存在感を示したというのが特徴だ。Wanders氏は来年1月に向けたダイニングセットをデザインするプロジェクトを進めているとのことで、いち早くこのコンセプトモデルを作り上げたのだという。

Wanders氏が手がけたALESSIのスマートフォン。増田氏によればAndroidを搭載。UIも同氏のデザインかという質問に対して増田氏は、現時点ではUIデザインまでは決まっていないという回答

ホワイトモデルとイエローモデル

ストラップも独特のデザイン

彫刻のような表面処理がされている

通常の携帯電話のコンセプトモデルをデザインしたのがGiovannoni氏とUrquiola氏。Giovannoni氏は、「顔の形をした携帯電話」。背面ディスプレイは円形で目を模しており、本体を開きやすいような位置にデザインされた鼻、黒いヒンジ部は髪を意識しているそうだ。布団で寝ているようなケース、犬を引き連れての散歩を意識したACアダプターなど、独特のデザインを作り上げている。

かわいらしいデザインの携帯台とACアダプター、ストラップ

イヤホンも独特

魚釣りのようなデザインも

布団で眠る携帯

「携帯電話発、"楽しい時間" のデザイン提案」というUrquiola氏のデザインは、カスタネットを連想させるフォルムで、カスタマイズできる携帯電話パッドをはじめとしたアクセサリーも「楽しい時間」を表現している。

カスタネットをイメージしたという携帯電話

携帯パッドはカスタマイズ可能

ストラップやACアダプターもセットでデザインされている

KDDIのコンシューマ事業本部サービス・プロダクト企画本部長・増田和彦氏は、ALESSIとのコラボレーションに際してiidaブランドや物作りのコンセプトなどへの賛同が背景にあり、1年半にわたるワークショップの結果生み出されたのが今回のコンセプトモデルだという。増田氏は、「日常生活にはなくては鳴らない携帯というプロダクトでの新しい取り組みを評価して欲しい」と話す。

18日の新製品発表会で明らかにされたiidaブランドのスマートフォンをデザインしたWanders氏は、「携帯電話をデザインできるのでうれしい機会だった」と話す。「今回のデザインではいろいろなアイデアを組み込んだ」というWanders氏は、「女性の肌に触れてその心が分かるように、ものの表面を通してそのソウルが分かる」と語り、新しいiidaのデザインでも「表面」にこだわった端末であることを示唆した。

増田氏は、今回の「iida and ALESSI」については、商品化を前提とした取り組みを行っているとしており、商品化自体はほぼ確定しているという口ぶりだった。ただ、今後さらにALESSIとの話し合いを進める必要があるようで、発売時期についてはすべて未定だという。

基板から開発したX-RAY

「auの1つの代表作」(増田氏)という携帯電話「MEDIA SKIN」をデザインした吉岡徳仁氏と2回目のコラボレーションのもとに開発されたのが「X-RAY」。ポリカーボネートにガラス繊維を混ぜて、強度と透明感を出すことを実現した。半透明で中の基板も透けて見えるため、「中の基板までコラボレーションした新しい取り組み」(増田氏)という。独特の細長い赤いLEDもこの端末のために開発したそうだ。

中の基板もデザインされたX-RAY

吉岡氏は、X-RAYを最初にプレゼンテーションした際に、携帯電話のレントゲン写真を使ったとのことで、「奥深い透明感で上質感を演出し、特殊な素材で写真(をみただけ)ではなかなか伝わらない感覚を実現した」と話している。X-RAYは11月5日から発売を開始する。

左から吉岡徳仁氏、増田和彦氏、ALESSIライセンシングマネージャーのマシモ氏、デザイナーのMarcel Wanders氏