昨日の海外市場

米金融緩和の規模を巡り不透明感が増していることを背景に、各市場でリスク資産を一度整理する動きが活発化した。為替市場ではドル買い戻し基調が継続し、ドル円は約2週間ぶりの高値水準まで反発。しかし、短期スパンのレジスタンスライン82.00突破に失敗した。

ユーロドルは1.40での上値の重たさを確認後はドル買い基調が継続し、1.3734レベルまで下落。第3四半期の消費者物価低下を受け、利上げ期待感が後退した豪ドルでも、調整売りが加速。クロス円もこの動きに追随し、ユーロ円は112.20台、リスクに敏感な豪ドル円は約1週間ぶりの79.00割れの展開へ。

世界的なドルの買い戻しは商品市場での下落を誘発し、貴金属、エネルギー市場がともに売り優勢の状況となった。特に原油先物(12月限)は、米週間石油在庫統計でガソリンの在庫が予想外の増加を見せたことで、82.00を割り込んだ。

そしてドル高、商品価格下落の影響は株式市場へも飛び火し、英FTSE100は約2週間ぶりの安値水準まで売りが加速。一方、米株も米連邦準備理事会(FRB)が行う金融緩和の規模が当初予想されていた額よりも小規模になるとの観測から、ウォール街株価指数や米SPX500で上値の重い展開となった。

本日の主要経済指標

・09:00 豪・8月コンファレンスボード景気先行指数

・15:00 日本・日銀展望レポート公表

・18:00 ユーロ圏・10月消費者信頼感(確報値)

・18:00 ユーロ圏・10月経済信頼感

・18:00 ユーロ圏・10月鉱工業信頼感

・18:30 南ア・9月生産者物価指数

・21:30 米国・新規失業保険申請件数

・26:00 米国・7年債入札(290億ドル)

・時間未定 日銀政策金利発表(その後声明文発表)

要人講演

・15:30 日本:白川日銀総裁の記者会見

・16:00 ドイツ:ウェーバー・ドイツ連銀総裁の発言

・17:30 ユーロ圏:トリシェECB総裁の発言

・24:30 スイス:ヒルデブランドSNB総裁の発言

国内決算発表

・13:00 信越化学

・14:00 三菱自動車

・15:00 コマツ、シャープ、 NEC、ソフトバンク、JT

・16:00 任天堂、シャープ

アジア時間

米金融緩和を巡る市場の思惑が微妙に変化し始めている影響が市場のトレンドにも表れつつつつあり、その流れをアジア市場も引き継ぐ可能性が出ている。

昨日は米金融緩和が奏功し、景気が浮揚することで金利が上昇するとの見通しが強まったが、更にここにきて米金融緩和の規模に対する不透明感が増していることも重要なポイントだろう。市場では5ヶ月間に約5000億ドル規模の国債を買い入れる方針を連邦準備理事会(FRB)が発表するとの観測がある。しかし、FRBの動きは今回の金融緩和に関して必ずしも一致しておらず、当初予想されていた額よりも小規模にとどまるのではないかとの疑心暗鬼が市場で生まれている。

実際、欧米株式の下落に連動し、昨日の香港HS株価指数は10月8日以来となる23000ポイントを割り込む場面も見られた。下落率で言えば2.5%を越えており、その後の反発も弱いことから、一度ポジションを整理しようとする投資家の意図が窺える。

また、日本225種でも目先のサポートライン9300を試す値動きが継続しており、本日ピークを迎える企業決算次第で乱高下することも考えられる。為替市場でどの程度ドルの買い戻しが進むのかも含め、その内容には注意したい。

これまでのバーナンキFRB議長の言動を振り返ると、市場を混乱させないよう、事あるごとに米金融緩和のシグナルを発しており、市場の期待を敢えて裏切るような暴挙に出ることは考えにくい。よって、イベントを前にしたリスク資産(ユーロ、豪ドル、株式等)調整売りへと転じただけとの見方もある。

ただ、市場がそのような思惑で動き出した以上は、そのトレンドに従う必要がある。そうなるとドルが対主要国通貨でどこまで上昇するかが、ポイントとなりそうだ。ドル高基調継続となれば、これまでドル安を背景にした資金流入が更に細り、リスク資産価格への下落圧力が増す可能性が高まるからだ。

特にドル円は、目先のレジスタンスライン82.00手前で止められている点に注目したい。基調は明らかにドル高へと傾いており、このレベルでの上値を抑える力が強い分、突破した場合はドル上昇に一層の弾みがつく可能性が高まるだろう。

既にユーロドルは1.40でのテクニカル的な売り、豪ドルでは利上げ観測が後退している中、ドル円でもドル高基調が鮮明となれば、株式や商品市場へもその影響は波及しよう。

ユーロドル 日足

日本225種株価指数 日足