Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは、App StoreでiPhoneおよびiPod touch向けのガスクロマトグラフィ(GC)用アプリケーション「GC Calculator App」の提供を開始したことを発表した。

同アプリは、GC圧力および流量計算アプリケーションで、iPhone/iPod TouchでGCキャピラリカラムの圧力と流量を正確に計算することが可能となる。同社は2010年初頭にも液体クロマトグラフィ(LC)用アプリケーション「LC Calculator App」を発表しており、こちらもApp Store から無料でダウンロードできる。

また、同社はベクトル信号解析ソフトウェアの新バージョン「Agilent 89601B ベクトル信号解析ソフトウェア(VSA)」も発表した。

こちらは、12月1日より販売、出荷が予定されており、変調信号解析などに携わる研究開発エンジニア向けに約110万円(税別)から提供される予定。

「Agilent 89600B ベクトル信号解析ソフトウェア」の利用画面

旧バージョンの「Agilent 89600A」の基本構造と制限事項を見直すことで、機能改善を実現したとしており、これにより現在規格のほか、将来登場するであろう規格や変調方式にも対応することが可能となったと同社では説明している。

「20:20トレース/マーカ機能」を搭載したことで、一度に最大20測定分のトレースを任意の設定、サイズ、場所に置くことができるため、問題の特定に役立たせることが可能となった。信号品質は、トレースあたり最大20個のマーカやトレース間カップリングを使って評価することができる。

また、マルチドメイン・デジタル・パーシステンス表示および累積ヒストリ表示に対応。デジタル・パーシステンス表示やトレース機能は、研究開発時の単発信号の測定に活用できるほか、累積ヒストリ表示はイベントの発生頻度を色別で表示するもので、長時間データを捕捉し、まれにしか発生しない現象や不定期に発生する現象の解析に役立つ。新たに搭載したこれらのトレース機能は、周波数ドメイン、タイム・ドメイン、モジュレーション・ドメインのいずれのドメインでも使用可能となっている。

さらに、独自信号や規格制定前のOFDM信号の評価が可能となっており、ファイルもしくはメニューを使って信号パラメータを入力することで、OFDM解析の設定を行い、実績のある89600シリーズの多様な表示解析機能を使うことができるようになっている。

加えて、LTE規格にも対応しており、プリ・アンテナ・ビーム・フォーミング信号などの解析を行うことが可能となっている。

このほか、RF/マイクロ波信号発生器向けオプションとシグナル・アナライザ用オプションも発表している。

RF/マイクロ波信号発生器向けオプション「Agilent PSGシリーズ 信号発生器 オプションUNY」は、自社のRF/マイクロ波信号発生器「Agilent PSGシリーズ」において、近傍位相雑音を低減することを可能にするもので、高性能デバイスや受信機の特性評価をこれまで実現できなかったレベルで行うことができるようになると同社では説明しており、例えば、搬送波1GHz、10kHzオフセットの場合、-142dBc/HzのSSB(シングルサイドバンド)位相雑音を実現しているという(仕様値。代表値では-146dBc/Hz)。

RF/マイクロ波信号発生器向けオプション「Agilent PSGシリーズ 信号発生器 オプションUNY

また、近傍位相雑音(150kHz未満)、または遠方位相雑音(150kHz以上)で位相雑音の設定を変えられる機能も提供。この自由度の高さにより、それぞれの用途に合わせて、位相雑音性能を最適化することができるようになっている。

一方のシグナル・アナライザ用オプションは、「Xシリーズ 」向けに広帯域測定や高速測定などを実現させるもので、特に広帯域信号の変調解析を行う無線機器の研究開発や製造部門に向けたものと同社では説明している。

「Xシリーズ」シグナル・アナライザ向けオプションを各種発表

MXAおよびEXAシグナル・アナライザ用の40MHz広帯域解析オプションを活用することで、40MHz帯域に対応することで、無線LAN(IEEE802.11n)をはじめ、最新の無線コネクティビティ規格に対応したデジタル変調解析が実現できるようになる。

また、同じくCXAシグナル・アナライザ用の25MHz広帯域解析オプションでは、ローコストの研究開発や家電の製造における広帯域信号解析ニーズに対応したもので、40MHz以上の広帯域測定が必要な場合、最上位モデルAgilent PXAシグナル・アナライザを使えば、最大140MHzの広帯域解析が可能となる。

MXAおよびEXAシリーズ用のデジタルIFボードは、40MHzの解析帯域幅を実現すると同時に、試験の高速化、大容量化にも対応している。同ボードにはデジタル・プロセッサを搭載したほか、最大2GBのメモリとIQ捕捉を加速するリアルタイム・エラー訂正機能も搭載しており、シグナル・アナライザとしてXシリーズを利用することが可能となる。

さらに、CXA、EXA、MXAシグナル・アナライザでは、外部の信号発生器を制御できる機能を提供。対応する信号発生器は「Agilent MXG N5181A/N5182A」で、この機能により、MXG信号発生器の多彩な機能を使って、部品やデバイスに信号を与えて、そのふるまいを測定することができるようになるという。

加えて、低価格のCXAシグナル・アナライザ向けに、最大6GHzのトラッキング・ジェネレータ・オプションを提供。これにより、スカラ・ネットワーク・アナライザの代わりとして使用することもできるようになり、研究開発における部品の特性評価や量産試験などにおいて、コスト効率が高く、しかも低価格な測定器として使用することが可能となるという。