ドリーム・アーツは、同社のEIP(Enterprise Information Portal)型グループウェア「INSUITE Enterprise」を宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2008年より内部の情報共有基盤として導入、「JAXAポータル」として、調布をはじめ、つくばや種子島の宇宙センターなど全国の事業所・施設すでてで活用していることを明らかにした。

JAXAは2003年10月1日、当時の宇宙科学研究所(ISAS)、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙開発事業団(NASDA)の3つの組織が統合して誕生したが、発足直後、すでに導入したグループウェアの陳腐化が進んでいたという。また、当時のグループウェアの機能が十分ではなかったため各部署が独自にグループウェアを導入し、個別最適が進んだ状態になっており、JAXAとして新たにグループウェアの入れ替えを行うことを機会に、統一の新システムへの検討を始めたという。

主な目的は、全般的にスケジュールや情報を共有したいというもので、その上で、内部のさまざまな連絡をどうやってスムーズに、最適な形にできるかという課題をJAXA的で議論、より機能が豊富なグループウェアが必要という結論に至ったという。

また、JAXAにはJAXA内のスタッフのほか、ロケットや衛星などの製造、運用に関わる協力会社のスタッフが内部で仕事をしており、そうした外部の多くの企業のスタッフもグループウェアを使って情報を共有する必要があったが、そのような要求がある一方、協力会社には開示できない情報もあるため情報の切り分けや管理は、ルールや運用面で制御する必要性も生じていたという。

このような課題の解決を前提に、仕様書に基づく一般競争入札が行われたわけで、その結果としてINSUITEが導入されることに決定された。

同じ分野の研究であっても、役割によってやるべきタスクが大きく異なるため、必要とする情報も違ってくる。INSUITEのポータルは、全社共通のものから部署、プロジェクトごとなど、目的別に構築することが可能なほか、自分に必要な情報だけを集約した個人のポータルを作成することも可能だ。また、ポータルに配置するポートレットはノンプログラミングで作成できるため、開発知識がない部門の管理者でも設定・追加でき、情報を一目で確認できる自分専用のポータルを作成することもできるようになっている。

また、事業所などが全国に配置されているため、出張が多くWEBメール利用の要望もあったという。しかし、従来は通常の業務ではクライアントメールを利用しているが、出張先に設置してあるPCを利用する場合クライアントメールが使えないため、別途導入していたWEBメールソフトを利用していた。新システムでは、導入を機にWEBメールの機能も取り込みたいという要望があり、現在JAXAでは、出張先ではINSUITEのAjaxメーラーを推奨しているとしている。

さらに、JAXA内では予算実施や文書決裁などの際に必ず稟議申請をする必用があり、JAXA全体では常時相当数の申請がなされている。稟議決済システムをポートレットとして切り出してINSUITEのポータル上に表示することも可能だが、それだけでは、承認する側からは自分のところに申請が回ってきているのかがわかりづらく、見落としや承認もれが発生する恐れがあったため、INSUITEのRSSリーダー機能を活用することで申請の新着情報を表示させるポートレットを作成。これを見ることで、申請が届いていることがタイムリーに確認できるようになり、見落としを防ぐことができ、申請から承認、決済終了までの一連の業務のスピードを向上させることができるようになったという。

加えて、運用に関しては、多拠点かつ機密情報を扱う組織ならではの工夫が施されたという。具体的には、情報システム部門が全体で利用するJAXAポータルの運用管理を行い、それ以外の部分は部署ごとに管理権限を委譲して運用管理を任せるという方式を採用。各部署から全体に通知する情報についても、情報システム部門で制御することはなく、部署ごとの判断にまかせているという。これにより全体で共有できる情報はある程度決まってしまうが、それ以上の機密性の高い情報は、セキュリティの方針に従って各部署で管理できるよういなったという。

なお、導入にあたっては、新システムへの移行による混乱を防ぎ、活用を促進することを目的に事業所ごとに講習会を実施。講習会では、かなりの時間をかけて説明を行い、遠隔地の事業所にはテレビ会議なども活用して説明を行ったとのこと。また、部署ごとに導入したグループウェアの集約にも地道に取り組み、INSUITEに乗り換えた時の使い方の違いについて情報システム部が相談に乗ったり、データを移行するためのツールを提供したりするなど、全スタッフにJAXAポータルを利用してもらうよう努力を重ねてきており、現在では、そうした地道かつ徹底したフォローの結果、「必ず全員使うことは、意思統一できている」とJAXAではコメントしている。