オンキヨーは28日、国内初となるWindows 7搭載のスレートPC3モデルを発表した。同時に同社の公式ショッピングサイト「ONKYO DIRECT」での受注が開始されており、10月中旬より順次発売となる。価格はすべてオープンで、店頭予想価格は11.6型液晶/32GB SSDの「TW317A5」が69,800円前後、10.1型液晶/32GB SSDの「TW217A5」が59,800円前後、10.1型液晶/160GB HDDの「TW117A4」が49,800円前後。

発表会会場に展示された「TWシリーズ」

今回発表されたのは、いずれもWindows 7 Home Premiumを搭載し、マルチタッチ機能対応の液晶ディスプレイを備えた「TWシリーズ」の3モデル。USB 2.0ポートやメモリーカードスロット、無線LAN/Bluetoothなどを搭載し、キーボードを排した構成ながらもPCとしての基本的な使いかたができる製品となっている。CPUはAtomを採用。

「われわれが今日からスレートPCの市場を作っていく」

常務取締役 PCカンパニー社長 菅正雄氏

開催された発表会では、常務取締役 PCカンパニー社長の菅正雄氏が商品について説明。冒頭から「『スレートPC』の『PC』とは本当のPCであるということ。『スレートPC』という名前はよく使われるが、PCそのものの機能が入ったものはなかなかない。われわれが今日からこの市場を作っていく」と、並々ならぬ自信を見せた。

まずオンキヨーのこれまでのPC製品ラインナップを振り返りながら、「これまでPCの世界で新しい市場として、音作りに徹したプレミアムオールインワンPC、家電との融合商品、PC周辺機器などを出してきた」とし、「さらなる新しい市場としてスレートPCに参入することを決めた」という。同時3モデルの発表となったのも、「1機種ではその本気度をわかってもらえない」とその理由を説明した。

オンキヨー自身の商品戦略として、「価格競争から付加価値サービスへの転換」「競争相手が少なく、弱い市場を狙う」「フロービジネスからストックビジネスへの移行」という3点を挙げ、この3点についてWindows搭載のスレートPCという市場が当てはまるとした。

プレゼンテーション中に示された「国内メーカー初のスレートPC」「スレートPCはオンキヨー」という言葉に、この製品への自負がうかがえる

最大のコンセプトとして強調したのは「OPEN」という言葉。既存の周辺機器やアプリケーションが使えるという点、ユーザーにとっても使い慣れたインタフェースで利用できるという点を、Windows 7を搭載したことのメリットとして挙げた。また同時に、「私どものスレートPCのうえでぜひさまざまなビジネスを展開していただきたい」と、新規のアプリケーション/周辺機器などの開発者・ベンダーの参入を歓迎すると語った。

販売については、従来同様のコンシューマに加え、法人ユーザーへの利用も期待しているという。具体的に、NTT-ATの光コネクタの検査用測定システムのノートPCからの置換、病院における電子カルテ管理への利用といった商談が進んでいることを明かした。いずれも、既存のPC用ソフトがそのまま動作することがひとつのポイントになったという。また電子書籍についても、すでに配信されているPC向けの電子書籍をそのまま利用できる利点を強調した。

最後に「今日がスレートPCの最初の日。『スレートPCといえばオンキヨー』となるように、マイクロソフトやインテルとの協力のもと、この市場を大きく育てていきたい」と意気込みを語った。

ゲストとして出席したマイクロソフトの藤本恭史氏は、「Windows 7の出荷後、Home PremiumなどのプレミアムOSが増え、用途に応じた多彩なPCデバイスが広がってきた。そんな中で、国内初のスレートPCが出てきたことをマイクロソフトとしてもうれしく思っている」と述べ、「フルファンクションのPCがこの形態で出てきたこと」を歓迎した。

次にインテルの土岐英秋氏が「PC以外のデバイスを想定したCPU」であるAtomが今回のスレートPCに採用されたことについて、「いろいろな形態でPCと同じようなインターネット接続性・パフォーマンスをサポートする」という同社の狙いにあったものだとし、「エンドユーザーがPCの新しい使い方を発見してくれるのではないか」という期待を見せた。

ゲストとして言葉を寄せた、マイクロソフト コンシューマー&オンライン マーケティング統括本部 コンシューマーWindows本部 本部長 兼 ウィンドウズライブ本部 本部長 藤本恭史氏(写真左)とインテル インテル技術本部 副本部長 土岐英秋氏(写真右)

3氏によるフォトセッション

会場には参考出品として各種オプションも展示された

「TW317A5」

「TW317A5」

最上位モデルとなる「TW317A5」の主な仕様は、CPUがIntel Atom N450(1.66GHz)、チップセットがIntel 82801HBM、グラフィックスがIntel GMA 3150(CPU内蔵)、メモリがPC2-5300 1GB(1GB×1、最大1GB)、ストレージが32GB SATA SSD、光学ドライブはなし、ディスプレイはタッチパネル付き11.6型ワイドTFTカラー液晶(光沢パネル/LEDバックライト搭載、1,366×768ドット)、OSはWindows 7 Home Premium 32ビット版。

インタフェースは、IEEE802.11b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 2.1+EDR、USB 2.0×2、HDMI、ヘッドホン出力、SD/SDHC/SDXC/MMC対応メモリーカードスロット、130万画素Webカメラ、3軸加速度センサー、照度センサーなど。バッテリはリチウムイオンポリマーで、駆動時間は約5時間。サイズ・重量は、W295×D14×H195mm(突起物含まず)、約1.0kg。

側面に拡張コネクタ類を装備する。PCとしては普通のインタフェースだが、その普通さがこの製品のセールスポイントだ

キー入力を行う際には、ソフトウェアキーボードを利用することになる

「TW217A5」

「TW217A5」

「TW217A5」の主な仕様は、CPUがIntel Atom Z530(1.60GHz)、チップセットがIntel システム・コントローラー・ハブ US15W、グラフィックスがIntel GMA 500(チップセット内蔵)、メモリがPC2-4200 1GB(1GB×1、最大1GB)、ストレージが32GB Ultra ATA/100 SSD、光学ドライブはなし、ディスプレイはタッチパネル付き10.1型ワイドTFTカラー液晶(光沢パネル/LEDバックライト搭載、1,024×600ドット)、OSはWindows 7 Home Premium 32ビット版。

インタフェースは、IEEE802.11b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 2.1+EDR、USB 2.0×1、HDMI、ヘッドホン出力、SD/SDHC/MMC対応メモリーカードスロット、130万画素Webカメラ×2、3軸加速度センサー、照度センサーなど。バッテリはリチウムイオンポリマーで、駆動時間は約6.4時間。サイズ・重量は、W274×D18.5×H173mm(突起物含まず)、約850g。

右端部に操作ボタンを装備。今回発表の3モデルで、こういった細部はそれぞれ異なる

本機のみ、前面だけでなく背面にもWebカメラを装備している

「TW117A4」

「TW117A4」

唯一のHDDモデルとなる「TW117A4」の主な仕様は、CPUがIntel Atom N450(1.66GHz)、チップセットがモバイル Intel NM10 Express、グラフィックスがIntel GMA 3150(CPU内蔵)、メモリがPC2-5300 1GB(1GB×1、最大1GB)、ストレージが160GB SATA HDD、光学ドライブはなし、ディスプレイはタッチパネル付き10.1型ワイドTFTカラー液晶(光沢パネル/LEDバックライト搭載、1,024×600ドット)、OSはWindows 7 Home Premium 32ビット版。

インタフェースは、IEEE802.11b/g/n対応無線LAN、10BASE-T/100BASE-TX対応有線LAN、Bluetooth 2.1+EDR、USB 2.0×2、外部ディスプレイ出力(専用コネクタ、D-Sub変換ケーブル付属)、マイク入力、ヘッドホン出力、SD/SDHC/MMC対応メモリーカードスロット、130万画素Webカメラ、3軸加速度センサー、照度センサーなど。バッテリはリチウムイオンポリマーで、駆動時間は約3.8時間。サイズ・重量は、W263×D18.5×H168mm(突起物含まず)、約0.99kg。

左側面のインタフェース部分。有線LANを搭載しているのは本機のみだ

右端の操作部。「TW217A5」とは異なり、ディスプレイから連続した配置になっている