TANAKAホールディングスは9月7日、田中貴金属グループにおいてめっき事業を展開する日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース(EEJA)が、ICチップなどの電極端子(バンプ)形成用中性パラジウムめっき液「ミクロファブPd シリーズ」を2010年9月8日より提供開始することを発表した。

同めっき液は、従来実現できなかったpH7.0の中性電解プロセスによるパラジウムめっき液で、LCDパネル向け駆動(ドライバ)ICに実装することが可能だ。このため従来、同ICに用いられてきた電解金めっきの代替活用が可能であり、電解金めっき法に比べ75%の貴金属地金コストダウンを図ることができるほか、LCDドライバICの微細(ファインピッチ)化にも対応できると同社では説明している。

同技術が開発された背景には、近年の金地金の相場の高騰があり、LCDパネル市場からもドライバICのコストダウン要求が出されていた。また、LCDパネルの高精細化に伴うドライバIC用バンプの微細化も併せて要求されており、接合時にバンプがつぶれて隣と接触しないように、より高度のある貴金属でのバンプ形成も求められ、金より安価で高硬度なパラジウムの活用が期待されていたが、従来のパラジウムめっきはアルカリ性であり、レジストにダメージを与えてしまうため、レジストが塗布されたウェハへのバンプ形成が困難という課題があった。

今回、同社では独自の中性領域で安定したパラジウム化合物と、同じ中性領域で効果の高い添加剤を用いることで、pH7.0の中性プロセスでバンプ形成が可能な中性電解パラジウムめっき液を開発、これによりコストダウンのほか、シャープでフラットなバンプ形成を可能とし、ドライバICの微細化にも対応することが可能となった。

「ミクロファブPd シリーズ」によるパラジウムバンプ形状例(20μm)

シャープなめっき形状と良好な外観を実現している

また、pH7.0の中性プロセスのため、レジストが塗布されたウェハへのバンプめっきが可能となっているほか、アンモニア無臭化により、従来浴のような強いアンモニア臭での作業環境を改善することにも成功している。

なお、同社では同製品を半導体ウェハメーカーを中心に販売を進め、年間売り上げ1億2000万円を目指すとしており、今後は中性電解パラジウムめっきプロセスをプリント配線板や耐アルカリ性の低い材料への展開も行い、プロセスの微細化やコストダウンの実現に向けたサービスの提供を強化していく方針としている。