NECは8月30日、商業施設・オフィス・工場内で、人の位置情報・特定の場所や物への関心度を示す情報などを高精度に取得可能なシステムを低コストで実現する行動センシング技術を開発したと発表した。

これまで、人の位置や行動、特定の場所にいる人数などを把握するには、取得したい情報ごとに異なるセンサが必要であり、センサの設置に手間がかかるという課題があった。これに対し、同社が開発した技術は、自由な場所へ手軽に設置できる据置型多機能センサや建物内の人が持ち歩く携帯電話に内蔵されているセンサを利用することで、導入を容易にするとともに、従来の約3分の1のストで位置・行動の情報を高精度に取得できるシステムを実現する。

同社はセンサの再調整が不要で長期間の安定動作が可能な、参照型無線LAN測位方式を開発した。同方式では、人の位置を3mの分解能(正解率:86%以上)で高精度に検出することができる。

また、携帯電話に内蔵された加速度センサを用いて場所や物に対する関心の強さを推定する行動ベース関心度推定方式も開発。従来の方式では「商品を触る」などの直接的な動作で関心度を識別していたが、同方式では加速度センサの出力データに基いて歩行や停止などの動作を識別しその発生回数や持続時間から関心度を算出することができるため、導入の手間を大幅に低減する。

同技術の有効性を検証するため、街なかソーシャルブックマーク「pin@clip ピナクリ」における実証実験の一環として、大規模商業施設で運用が3ヵ月間行われた。その結果、「同システムを用いることで、2日間程度の短期間でセンサシステムを導入可能なこと」、「顧客の位置、売場に対する関心度、売場の滞在人数の情報を用いて、店舗内での購買行動の特徴、売場間の関係やイベントによる集客効果の分析、混雑情報を活用した店舗情報配信サービスなど、商業施設/顧客の双方にとって有益なサービスが提供できること」が確認された。