PR会社の従業員が一般人に成りすまし、偽のゲームレビューで評価を行っていた件について8月26日(米国時間)、米取引委員会(FTC)とPR会社の間で和解が成立した。これは2008 - 2009年にかけてReverb CommunicationsというPR会社が複数のゲームメーカーとの契約で行っていたもので、AppleのiTunes Store上で偽のゲームレビューとともに評価を引き上げる行為を行っていたことが発端となっている。

米国では2009年にオンライン広告におけるガイドラインの改定を30年ぶりに行っており、製品のレビュアーは広告主との関係を明示しなければならない決まりとなっている。たとえばブロガーなどが特定の製品についてのレビューや使用記事を書く場合、もし当該製品の提供や金銭の享受がある、あるいは製品メーカーの関係者といったつながりがある場合、その旨を必ず示さなければならない。これはオンライン技術の登場によってさまざまな人々からの情報発信が容易になり、マーケティングと称したバラ撒き行為による過度な宣伝や立場を隠しての製品評価やライバル製品への攻撃など、情報発信が容易ゆえの問題が顕在化してきたことに起因する。FTCのガイドライン改訂はこうした行為が無作為に拡大することを防ぐ狙いがあり、今回は同法案に抵触する初のケースとして注目を集めていた。

Reverbの件では最終的に両者間での和解となり、過去に掲載したレビュー等の削除、そして今後同社が同様の行為を行わないとの条件で金銭的ペナルティから免除されている。FTCの広告問題担当ディレクターのMary Engle氏は「オンラインマーケティングに従事するPR会社など、企業は広告における誠実さの原則を遵守しなければならない。同時に広告主は自らを一般人として偽ったりすべきではなく、もし製品を勧める者であれば、その製品提供者との金銭的関係を明示しなければならない」とコメントしており、新ガイドラインにおける原則を説明する。一方で今回被告とされたReverb代表であるTracie Snitker氏は「われわれは今回の判断に納得していないが、このまま裁判に時間と金銭を浪費して従業員を解雇しなければならない事態は避けたい。ゆえに和解で合意した」と米New York Timesにコメントしている。