アジア時間においては、日本当局に対する思惑でやや右往左往する展開になった。米株式先物市場が前日のリスク回避的な地合いから軟調に推移したことで、アジア時間も一旦はリスク回避思考になった。ただ、今夕のイベントを控えて動きが鈍い中、菅首相が円高対策の方針を示すという報道で、ポジション解消の円売りに転じ、株式市場もプラス圏になった。

しかし、菅首相のコメントは;

・為替市場の過度な変動は経済・金融の安定に悪影響、重大な認識持っている

・必要な時には断固たる措置をとる

・日銀総裁が帰国次第官邸で面会

などと、今ひとつ介入に関しては不透明なコメントを発したことから、多少の円売りの動きになったとはいえドル円が84円台での推移が継続中。一方、夕方から発表されているドイツ各州のCPIはほぼ市場の予想範囲内の数値となっており、欧州通貨に対するインパクトは見られない。

主な経済指標

・15:00 (ドイツ)7月輸入物価

・17:30 (英)第2・四半期GDP 改定値

・21:30 (米)第2・四半期 GDP 改定値

・22:55 (米)8月米ミシガン大消費者信頼感指数 確報値

・23:00 (米)バーナンキ米FRB議長 講演

市場関係者は、今晩のコンファレンスに注目している。 バーナンキFRB議長の講演も予定されているが、各国中央銀行の総裁が一堂に会している中で、どのような意見交換をし、さらに現状の円高傾向(いや、ドル及びユーロ安傾向)について言及するのかどうか。

また、菅首相は白川日銀総裁が帰国次第、会談を行うとしていることから、現状ではドル円・クロス円の下値模索という地合いにはなりにくい環境。欧州時間においては、今週から再度ドイツ国債との利回り格差に対する警戒感も増幅していることから、ネガティブな話題にはどちらかというと敏感。

また、今晩のメインイベント前には米GDP改定値が発表される。米当局としても、ここ最近の住宅関連指数の大幅低下を受けて慎重な姿勢になっていることから、下方修正の内容となれば株式市場も含めてリスク回避志向の展開が強まろう。はたして、日本の円高に対する警戒心に対して、他の当局筋が同調するのかどうか。

コメントだけの結果となるのであれば、失望的な展開に再度なりやすいと思われる。商品市場もFRB議長をはじめとする今晩の当局者コメントに市場は注目しており、狭いレンジでの推移が継続されている。週末前だけに、ポジション調整の動きとのせめぎ合いになりそうだ。