週刊マーケット情報 - 今週の注目は米経済指標と当局者イベント

今週の注目は、米経済指標と当局者イベント。米経済に対する警戒感がくすぶる中、日本当局、ユーロ圏へのリスク警戒感と、当局に絡んだ話題はチェックしておきたいところ。

市場において日本当局の動向が警戒されているようです。各国・地域が、対外輸出スタンスにおいて通貨安志向を強めており、それぞれのバランスがかなり重要になってくる中で、日本側の不手際というべきか、政策のなさがかえって市場のターゲットとされている展開になっています。

また、現状の金利水準を考えれば、海外当局より金融政策手段としては限られています。0.1%から仮に金利水準が引き下げられたとしても、どの程度の効果があるのでしょうか?

SPX

その上、アメリカ側においては貿易赤字が拡大しているうえに、中国においては輸入額が減少したという単月の内容とはいえ黒字幅は拡大していることから、アメリカ国内からの対中国の圧力は高まりやすい状態。アジア向けというスタンスでは、欧州当局も同様のスタンスを取っていると思われ、日本を特別視するという環境ではありません。

よほど、日本経済が各国への影響が大きくなるという特殊要因があれば良いのですが、現状では難しいですね。

こういった中、今週、菅首相と白川日銀総裁の会談があるのでは、という観測がありますが、それがいつになるのかは不透明(週初か、それとも後半か、と市場でも意見が分かれています)。今週の海外経済指標や株式市場からのリスク回避的な動きで再度円高に振れた場合にはクローズアップされるでしょうが、前述のようにカードが少ない中での効果は限定的ですし、仮に開催されなかった場合や手打ちが見透かされてしまっては、当局への警戒感が薄れてしまう可能性があり、某新聞の会談報道が出た経緯は定かではないものの、かえって日本当局の立場をさらに苦しめてしまっているのではないでしょうか?

ちなみに、日銀のレートチェックは、ランダムに各金融機関に対しておこなれていると思われます。あえて、日銀チェックが材料視されたというのは、何か別に聞かれたことがあったからと思っておいた方が良いと思います。日常業務として、現状の市場環境はどうでしょうか?という問い合わせも、日銀チェックの範囲内になると思われます。

日本側からサプライズがないのであれば、対ドルで90円台回復はさらに厳しい環境にあるのかもしれません。

そして、先週後半から再燃しているユーロリスク。今月からの欧州の企業決算の他に、ユーロ安によるいくつかの景況感指数が上昇したことから、リスク回避志向が後退しユーロが1.33台まで上昇した展開にはなりました。しかしその後は、利益確定の他に、基本的な財務体質・融資額に関する懸念が解決したわけでもなく、先週のアイルランド・イタリアの話題であっさりと反落の展開になりました。

コアの国々だけを見てユーロ堅調と偏ってしまうことは避けたほうが良いかもしれません。先週発表されたGDPにおいては、コア国では市場予想を上回ったものの、今年前半に話題になったリスク対象国でははかばかしくなかったことから、域内格差が再度意識されています。先週後半には、再度国債の利回り格差が広がっており、ユーロの重しとなっています。

今後もこの展開(ある意味、質への逃避なのですが)が継続されれば、ユーロの重しとなりそうです。

企業業績の結果においても、ユーロ域内ではなくユーロ域外における収益アップの他、金融機関においては貸倒引当金の引き下げに伴う大幅増収、製造業ではユーロ安の追い風と会計上の恩恵が収益の伸びにつながったという背景もあり、ユーロ圏内の一般消費者の景況感は、ドイツ・フランスを除けば、今一つ。 

その上、雇用情勢で見れば、若年層の雇用状態も含めてアメリカ同様に見通しが不透明。火曜日にドイツのZEW景気期待指数が発表されることから、ポジティな話題になるかどうかに注目です。

EUR

一方で、米国の労働環境の話題が気になるところ。今月の米雇用統計において当局が警戒しているのは、隠れた失業者層。失業率においては、雇用を欲する人に対しての割合になるのですが、資格取得や扶養など、一時的に求職の立場から離れた人たちを加えると実際の失業率は二桁になるという試算があり、FOMCとしても、セントルイス地区連銀総裁を除いては、かなり警戒している模様。今週には、幾人かのFRB当局者の講演・会談予定があるうえに、来週にはバーナンキFRB議長がコンファレンスに出席することから、次回の雇用統計に向けての材料集め(リスク集め?)というNY時間になるかもしれません。 

その上、ディスカウント小売業の業績発表も予定されるなか、市場の期待感(ポジティブ話題を欲するという点で)があるだけに、期待通りの結果が出てもユーロ発のリスク回避が後退しなければ、資本市場の反発は限定的になるかもしれません。今週はニューヨーク連銀製造業指数、フィラデルフィア連銀景況感指数が発表されることから、FRBも労働環境・消費の話題には注目しているようです。

こういった中、将来的なリスクとしては、一般のメディアでも話題になっている小麦など食料品関連の動きが挙げられます。先週、ロシアが麦関連の輸出を今年いっぱい行わないことを発表。異常気象によって、国内の小麦などの穀物生産が大幅に低下したことから、国内需要を優先させた結果となりました。直接的な影響は中東諸国がメインと言われていますが、穀物先物市場においてかなり乱高下している展開をうけて、欧州だけではなくアメリカ、日本にまで価格上昇の影響が出てくるかどうか? ロシアだけではなく、もう一つの穀物輸出国であるオーストラリアも干ばつに悩まされており、かたやアメリカは農産物収穫高の下方修正を発表済み。今後の価格推移次第では、各国の輸入物価や消費傾向にも影響してくることになります。

ただ、現状において価格が上昇しているのは小麦を中心とした麦関係で、米、大豆、コーンなどは比較的価格が安定しています。どの程度食糧関係からの影響が出てくるか今後は不透明ですが、パンを主食としている国において、価格上昇傾向が続くのであれば年末までに消費に多少なりとも影響が出てくることは考えておいた方が良いかもしれません。 

市場においては、今年初めの不透明感がいったん後退した? と思った矢先のリスク再燃だけに、さらに安全志向とだぶついているマネーの逃避先として、国債及び貴金属に流れやすくなる傾向も考えられます。

日々のリスク思考での上下動がしやすい上に、アメリカの景況感というブレンドがどの程度リスク思考に影響してくるのか。株式市場において上値の重しの材料も加わり、テクニカル的に下値サポートを割り込んだ場合には、ファンド筋の換金売りということも踏まえてリスク回避を考慮したほうが良いかもしれません。

ただ、気になるのはIMM通貨先物ポジションにおける円ロングとAUD(豪ドル)ロング。他の通貨に対しては比較的堅調に推移しているこれらの通貨ですが、イベント前のポジション調整に加え、本格的なリスク回避になった場合のUSD(米ドル)の優位という可能性もあります。(その場合には、USDの買い戻しで円売り、AUD売りになりやすい?) USD中心の展開となれば、各通貨の動きの差(スピード)によって、かなり上下動しますので、クロス円を中心に見ている人は、NY時間は要注意です。

AUDJPY

8/10/10 week 8/03/10 week
Net 52,478 47,998
ユーロ 8/10/10 week 8/03/10 week
Net -3,731 -7,297
ポンド 8/10/10 week 8/03/10 week
Net 5,021 -250
AUD 8/10/10 week 8/03/10 week
Net 54,370 48,715

今週の主な予定

8月16日(月)
(日)4─6月期GDP1次 速報値
(日)6月第3次産業活動指数
(インド)7月卸売物価指数
(ユーロ圏)7月消費者物価指数 改定値
(米)8月NY州製造業業況指数
(米)6月対米証券投資
(米)8月NAHB住宅建設業者指数
(米)バーナンキFRB議長、ボルカ―氏と会談
《主な企業決算》キリンホールディングズ
8月17日(火)
(豪)RBA理事会 議事録
(ユーロ圏)6月経常収支
(英)7月消費者物価指数
(ユーロ圏)8月独ZEW景気期待指数
(豪)スティーブンスRBA総裁 講演
(米)7月住宅着工件数
(米)7月卸売物価指数
(米)7月鉱工業生産
(米)コチャラコタ・ミネアポリス地区連銀総裁 講演
《主な企業決算》ホーム・デポ、ウォールマート
8月18日(水)
(日)6月景気動向指数CI改定値
(豪)第2・四半期賃金コスト指数
(英)BOE金融政策委員会 議事録
(米)MBA住宅ローン・借換え申請指数
《主な企業決算》ドン・キホーテ
8月19日(木)
(NZ)第3・四半期生産者物価指数
(豪)ANZ消費者信頼感指数
(日)財務副大臣会見
(ユーロ圏)7月独生産者物価指数
(スイス)7月貿易収支
(英)7月小売売上高
(米)新規失業保険申請件数
(米)7月景気先行指数
(米)8月フィラデルフィア地区連銀業況指数
(米)ブラード・セントルイス地区連銀総裁 講演
(米)エバンズFRB理事 講演
《主な企業決算》ユニバース、HP
8月20日(金)
(カナダ)7月消費者物価指数
《主な企業決算》パソナ

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