アジア市場概況

米景気回復の鈍化を背景に米株が下落した影響から、アジア株式は総じて利益確定売り優勢の展開へ。日本225種は、円安が一服したことを受け、9700円台でやや上値重い展開が継続していた。

為替市場では、再び米10年債利回りが節目の3.00%を割り込んだことにより、短期筋がドルやクロス円で売りに動いた。ドル円はかろうじて87円台を維持したものの上値の重い状況は継続、ユーロ円も再び113円ミドルをブレイクする場面が見られた。

一方、将来の利上げ観測後退により朝方売りこまれたNZD円だが、5月以降の下落で見た38.2%ポイントで下支えされた。

今晩の主要経済指標

・18:00 (ユーロ圏)7月景況感・業況感指数

・21:30 (米)新規失業保険申請件数

・02:00 (米)財務省7年債入札

・02:20 (米)フィッシャー・ダラス地区連銀総裁 講演

米市場オープン前の主な決算発表予定

Eastman Chemical Company、Kellogg Co、Motorola, Inc、

Automatic Data Processing、Barrick Gold、CONSOL Energy、

Goodyear Tire & Rubber、Moody's Corporation、Raytheon 

市場の関心は、企業決算からマクロ経済動向へと徐々にシフトしている。米国とは対照的に、最近の欧州経済指標は予想外に市場予想を上回っているが、今日は16:55に7月ドイツ雇用関連指標が発表される。

ユーロ圏最大の経済規模を誇るドイツで雇用情勢の改善を示す内容となれば、投資家のリスク許容度が拡大し、リスクテイク思考にさらに転換するかに注目。またNY時間に発表される米新規失業保険申請件数は要注意か。市場は新規申請件数の小幅減少を予想している。

ただ、来週くらいまでは夏の工場閉鎖がどのくらいになるかを事前に予測して行われる季節調整が入るため、申請件数は通常よりも上下に振れやすい状態。昨夜のベージュブックを受け、雇用関連の指標に相場が反応しやすい地合いとなっているため、注意が必要か。

カルフォルニア州知事の財政非常事態宣言の報道も、欧米時間にどう消化されるか気になるところか。同州の財政赤字が深刻な状態にあることはすでに以前からニュースとなっていた。ただ、アメリカで財政がひっ迫しているのはカルフォルニア州だけではなく、他の州に対しても警戒心が高まる可能性もありそう。

国内では株式市場の引け後にぞくぞくと大型決算が発表されている。ソニーは2011年3月期の営業利益予想を上方修正した。ソニーのようなグローバル企業の決算は海外勢の注目も高いことから、業績内容のみならず為替の見通しもチェックしておきたいか。ソニーはユーロ円の見通しはキヤノンと同様110円にすると発表。ドル円もキヤノンと同じく90円。この辺が輸出企業の見通し中央値となれば、ユーロとドルの上値は今後、重くなるかもしれない。

きょうのNY時間には米製造業から資源系企業まで幅広い分野での発表が予定されている。月末の需給と合わせて(リバランス需要絡みのドル大口売りの噂が市場で流れている模様)株式・為替相場で売り買いが交錯し、リスク動向も同じく左右される展開となるか。

ユーロドル 日足

ウォール街株価指数 日足