スーパー、百貨店、コンビニエンスストアの6月の売上高が出そろった。いずれも前年を下回る状況。復調の兆しが見えていた百貨店は、株安が消費マインドに影響してか前年比6.0%減と低迷。一方で外国人観光客による売上は好調で、特に中国人の購買意欲は旺盛なようだ。

日本フランチャイズチェーン協会が発表した主要コンビニエンスストア10社の6月の売上高(既存店ベース)は、前年同月比1.5%減の6,095億円で、13カ月連続の前年割れとなった。 来店客数は、既存店ベースでは11億853万人で前年同月比00.4%増とかろうじてプラスに転じた(プラスは1年ぶり)。全店ベースでは11億8,924億人で前年同月比2.2%増。一方、客単価は549.8円(既存店ベース)で同1.6%減となっている。商品別(全店ベース)では、菓子やソフトドリンクなどの「加工食品」が0.3%増、弁当やパンなどの「日配食品」が0.6%増、「非食品」は0.2%増だった。「サービス」は11.3%増。気温が高い日が多かったことで、アイスクリームやソフトドリンクが好調だったという。

スーパーも苦戦が続いているが、気温が高かったことや販促効果もあり、一部で好調な動きも見られた。日本チェーンストア協会が発表した6月の売上高(店舗調整後)は前年同月比1.4%減の1兆73兆円。19カ月連続の前年割れとなったものの、減少幅は前月の5.3%減から改善。特に「衣料品」は気温が高かったことで、婦人服を中心に売れ行きが好調、前年同月比1.5%増と4年半ぶりにプラスに転じた。父の日関連ではビール、珍味、すし、サッカーのワールドカップTV観戦関連ではスナック類、おつまみ米菓、夜食用の調理パンの動きが良かったという。同時に発表された2010年上半期の売上高(店舗調整後)は前年同期比4.3%減の6兆488億円で、14年連続のマイナスとなった。景気低迷を背景にした所得環境の悪化で消費者の節約志向が強まり単価ダウンとなったことなどが要因。

百貨店業界も苦境をなかなか抜け出せない状況。6月の全国百貨店売上高は4,924億円で、前年同月比6.0%減(28カ月連続のマイナス)。欧州の金融・財政危機による急激な円高、株安などが影響。回復の兆しも見えていた宝飾品や輸入雑貨など高額商品の動きも「若干鈍化」(同協会)した。昨年は各社が夏のクリアランスセールを6月に前倒しして実施しており、その反動もあったようだ。商品別で減少率が大きかったのは「家具」(11.3%減)、「子供服・洋品」(9.2%減)、食料品(8.4%減)など。同時に発表された2010年上半期の売上高は、前年同期比4.4%減の3兆184億円で、昨年上半期の同11.0%減から縮小したものの、3年連続で前年を割り込んだ。

急伸している外国人観光客の売上高(調査対象は40店舗)をみると、6月は前年同月比199.1%とほぼ2倍。人気商品は1位「婦人服」、2位「化粧品」、3位「ハイエンドブランド」。「中国本土からのお客様に限って分析すると、免税件数845%、免税売上998%で、『銀聯(カード)』取扱高は、487%となった」とする銀座の店舗もあった。「銀聯」は中国版デビットカード。中国の銀行が発行する銀聯ブランドが付与されたキャッシュカード(銀聯カード)を使用し、キャッシュレスで買い物ができるシステムとなっている。