iPhoneの無制限データ通信プランを使ってテザリング機能を利用したいというユーザーは多いだろうが、米国のようにテザリングのための料金を別途請求されたり、残念ながら日本のように機能そのものが利用できない地域も多い。だが、このテザリングを可能にする機能をトロイの木馬として搭載した全然違う用途のアプリがApp Storeに登録されていることが判明し、後にAppleによって削除されたことが話題になっている。

懐中電灯アプリに隠された機能

この話題はWIREDなど複数のメディアが報じている。それによれば、App Storeに何の変哲もない懐中電灯アプリとして99セントで登録されていた「Handy Light」というアプリには、実はこのテザリング機能が隠されており、3Gネットワークに接続させたいMacまたはPCにある設定を行うことでこの隠された機能を呼び出せるという。YouTube上には、こうしたHandy Lightを使ったテザリング利用方法を解説する方法や実際のテスト結果をアピールする動画が多数掲載されており、すでに多くのユーザーがこれを利用してテザリングを行っていたことがわかる。基本的にはiPhoneが標準で備えるテザリング機能と大差ないものだが、Handy Lightの隠し機能には1つ大きなメリットがある。それはWi-Fi経由でのテザリングを行っていることで、これを利用することで本来なら不可能なWi-Fi版iPadのテザリング経由でのインターネット接続が行える(iPhone標準のテザリングはUSBケーブルまたはBluetooth以外でのネットワーク接続を許可していないため)。

なお、米国ではiPhone 4の発売とともに米AT&Tでのテザリング利用が解禁されており、月額25ドルで2GBの容量制限つきプランに20ドルを追加することでテザリングが可能になっている。Handy Lightの隠し機能はこうした追加オプションなしでのテザリングを可能にするが、実際にはトータルの使用容量や単位時間内の消費具合をAT&Tが監視して適切なプランが選択されているかを判断しているため、調子に乗って使っていると後ほどどのような請求が来るかわからない点に注意したい。これは他国でも似たような状況だろう。

結局、Handy Lightは隠し機能の存在が公になり、AppleによってApp Storeから削除されてしまったが、今後もこうしたアプリがひっそりとApp Store上に出現する可能性は十分あるだろう。以前にも似たような形で「NetShare」というテザリング機能を提供するアプリがApp Store上に登録されて話題になったが、こちらは大手デベロッパーが開発したアプリということでほぼ無審査での登録が行われたものであり、わずか数時間でApp Storeから削除された。NetShareは隠し機能ではなく、テザリング専用アプリだったのだが、これが普通にApp Storeに登録されたのも無審査が成せる業だったのだろう。App Store黎明期ならではのエピソードだ。