宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月14日、2010年5月21日(日本標準時)に種子島宇宙センターより打ち上げた小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」が、航行とは別の理学ミッションの一部として搭載していたガンマ線バースト観測装置(GAP)により、7月7日のガンマ線バーストを観測したことが、解析により判明したことを発表した。

ガンマ線バーストは、非常に重い星の寿命の最後に、ガンマ線を放出しブラックホールを作りながら大爆発を引き起こす際に生じる現象。宇宙で一番規模が大きな爆発とされており、遠い宇宙の果てで発生しても明るく観測されることから、従来、知られている最遠の天体はガンマ線バースト時のものとなっている。

ガンマ線バーストの発生イメージ図。激しい爆発により両側に延びる高速のジェットが発生し、ガンマ線の向きに偏りを生じると考えられている(CG作成:金沢大学、提供:JAXA)

同装置は、金沢大学と山形大学と理化学研究所が共同研究のもとに製造したもので、6月末から機能確認を開始、初期設定を終えた直後にガンマ線バーストを観測した。

検出器(GAP)外観。直径17cm、高さ17cm、重さ3.7kgで左は電源

実証機本体裏面に取り付けられたGAP

ガンマ線バーストは激しく、ほとんど光速で両側に飛び出すジェットのようになると考えられており、ガンマ線の出る向きや電場ベクトル・磁場ベクトルが偏ると考えられている。ガンマ線の偏光はこれまで観測されておらず、そのため、JAXAでは今後、ガンマ線の偏光観測を行うことで、それによりガンマ線バーストの磁場構造、放射機構の解明につなげ、ひいては星の死とブラックホールの誕生の謎に迫りたいとしている。

IKAROSに搭載された状態での軌道上での位置

ガンマ線バーストの検出