日本オラクルは7月1日、サーバサイドで利用するJava VMの最新版「Oracle JRockit R28」を発表、7月6日に提供を開始する。JRockitは旧BEAのポートフォリオであるJava EEアプリケーションサーバ「Oracle WebLogic Server」の性能を高めるJava VM。最新版では突発的な障害にも迅速に対応可能な機能「JRockit Flight Recorder」を搭載、システム障害に伴う機会損失を最小限に抑えることが可能になる。

JRockitは1998年の初リリース以来、サーバサイドに最適化した"業界最速"を謳うJava VM。とくにJava特有のガベージコレクション(GC)処理の制御には定評があり、突発的な処理遅延が少なく、安定した挙動を実現するソリューションとして知られる。

JRockitの安定性は、それ自体がもつ自己モニタリング機能によるところが大きい。最新版で追加されたJRockit Flight Recorderは、この自己モニタリング機能を内部的に利用することで、負荷を低減しながら記録を取るしくみをもつ。これにより、他のプロファイラ製品では負荷がかかりすぎるため難しかった本番環境での常時記録が可能になる。

JRockitの新機能「JRockit Flight Recorder」は、まさしく飛行機のフライトレコーダーのようにアプリケーションサーバの前挙動を記録する機能。GUIによる操作性の高さも特徴のひとつ。トラブルが発生したポイントを直感的に把握することが可能だ

日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 マネジャー 新井庸介氏

日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 マネジャーの新井庸介氏は、「障害は予期しないときに突然襲ってくるもの。だからこそ、迅速に対応することができればビジネスの機会損失は最小限に抑えられ、サイトダウンによる信用失墜も免れる。常時記録が可能になったJRockit Flight Recorderは、過去の記録までさかのぼってトラブルの原因を突き止められるだけでなく、障害発生から改善までのサイクルと手間を大幅に短縮化することが可能。たとえば問題解決までに30日かかっていたものが、新しいJRockitでは12日まで短縮することができる」としている。本番環境での常時稼働が可能なため、トラブルの再現環境構築や再現テストが必要ないためだ。

日本オラクル 常務執行役員 Fusion Middleware事業統括本部長 ヴィヴェック・マハジャン氏は「Sunとの統合により、我々のJavaに対する責任はさらに大きくなった。今後はより積極的にJavaテクノロジに投資し、"Complete, Open, Integrated"に基づいた製品を提供していきたい」とコメント、ミドルウェア製品においても今後、既存のポートフォリオと密接に統合されたJava製品をリリースしていくとしている。

日本オラクルにおけるミドルウェア事業の責任者であるヴィヴェック・マハジャン氏は「Sunを買収したからといって、我々の基本コンセプトに変更があるわけではない。だが、我々のJavaに対する責任は大きくなったことは自覚している。Oracle製品はもともとJavaテクノロジとの高い親和性をもつ。これからの製品リリースに期待してほしい」としている