スタンダード&プアーズ(S&P)は29日、三井物産の長期会社格付けのアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。「米メキシコ湾の原油流出事故により、スポンサーである三井物産グループに相応の金銭的負荷がかかる可能性は払拭できず、財務基盤に悪影響が及ぶ可能性がある」(S&P)との見方に基づく。格付けは据え置いた。

S&Pによると、三井物産が約70%を出資する三井石油開発の100%出資孫会社MOEX Offshore 2007 LLCが、事故が起きた油田鉱区の権益に10%出資している。「原油の流出は続いており、プロジェクト関係者に多額の事故処理費用や損害賠償費用が発生する見込み」(S&P)。S&Pでは、「MOEX Offshoreは採掘作業には関わっていないものの、MOEX Offshoreを含むスポンサーにも事故処理や損害賠償のための負担が発生する可能性は払拭できない」と分析している。

S&Pは、「今後、グループ会社の負担額がスポンサーとしての出資額を大きく超え、グループ全体の期間損益を大幅に上回る可能性が強まるなど、財務基盤に現格付けで許容できない水準の影響が及ぶ見通しが強まったと判断する場合には、格付けを引き下げる可能性がある」としながら、「負担額が現在の格付けで吸収可能な範囲であるとの見通しを確認できれば、アウトルックを安定的に戻す」としている。