米Googleは6月28日(現地時間)、中国(Google.cn)で検索サービスを提供するためのソリューションとしてきた香港(Google.com.hk)への自動転送を中止すると発表した。これは中国における同社のインターネットコンテントプロバイダ(ICP)ライセンスが間もなく失効するためで、ICP更新を目指して中国本土における検索サービス運用を変更する。

Googleは今年1月、人権活動家のメール情報を狙った中国からのサイバー攻撃を公表し、ネット規制を強める中国政府に対して同国における検閲のない検索サービスの実現を求めた。同国政府は「自主検閲が法的必要条件である」という姿勢を崩さず、その結果Googleは3月に、中国本土のネットユーザーに検閲のない中国語検索サービスを提供できるようにGoogle.cn訪問者を香港(Google.com.hk)に自動転送するというソリューションを採用した。

GoogleのチーフリーガルオフィサーのDavid Drummond氏によると、中国政府は香港への自動転送を容認できないとしており、自動転送のままでは6月30日に期限が迫ったICPライセンスの更新が認められない。ICPライセンスを失うと、Google.cnのような商業Webサイトを中国で運営できなくなる。そこで自動転送に代わるソリューションとして、Google.com.hkへのリンクを設けたランディングページをGoogle.cnで提供する。中国本土のユーザーが音楽やテキスト翻訳などGoogle.cnのサービスを使いながら、同じページからGoogle.com.hkの検索サービスにもアクセスできる仕組みになる。Googleは検索結果を自主検閲しない中国語検索サービスを引き続き中国本土のユーザーに用意できる。

同社は数日中に自動転送を中止し、中国サイト(Google.cn)の訪問者を新しいランディングページへと誘導する。このプランで作成したICPライセンス更新の申請書を28日(同)に提出したという。「企業として、われわれは中国を含む世界中のユーザーへの情報提供を目指しており、その実現のために中国における研究開発およびGoogle.cnの継続に力を注いでいる。新しいアプローチは、中国の法と、自己検閲を拒否するわれわれの姿勢の調和が保たれている。このソリューションでライセンスが更新され、中国のユーザーに引き続きGoogle.cn経由のサービスを提供できることを希望する」とDrummond氏。