ルネサス エレクトロニクスは6月29日、日本、およびブラジル、アルゼンチン、ベネズエラなどの南米諸国で採用されている地上デジタル放送方式のコンテンツを受信可能なシステムLSI「EMMA 3TJ」「EMMA 3TS」の2製品を開発したことを発表した。2製品ともに2010年秋よりサンプル出荷を開始、サンプル価格は3500円で、同12月より2製品合計で月産30万個の量産を行う計画。

EMMA 3TJがデジタルテレビ向け、EMMA 3TSがSTB向けとなっており、いずれも日本や南米諸国で採用されている地上デジタル放送方式「ISDB-T」、および日本で採用されているBS/CS放送方式「ISDB-S」の復調回路を内蔵している。

また、MPEG-2およびH.264方式などの映像圧縮規格に対応した復調回路を1チップに内蔵。これらの規格に準拠して圧縮された映像データの伸張・表示が可能だ。

さらに、USB 2.0ホストコントローラおよびイーサネットMACを内蔵しており、ビデオ・オン・デマンドやストリーミング放送の受信をはじめ、インターネット経由による映像表示などのネット機能を有したTVやSTBの構築 も可能となっている。

加えて、EMMA 3TJでは、HDMI1.4aで規定されている3Dフォーマットの入力信号の伸張回路など、3Dテレビの実現に必要な機能を内蔵しており、デジタル放送やBlu-Ray Discからの3D映像の表示が可能なTVの構築が可能となっている。

2製品ともに回路構成に同一のアーキテクチャを採用しており、その結果として高いソフトウェア互換性を実現。いずれか一方に向けて構築したソフトウェアをもう一方へ流用することが容易となるため、システムの開発期間やソフトウェア開発費用の低減が可能となっている。

なお、同社では、日本、および近年、次々と地上デジタル放送の方式をISDB-Tと決めつつある南米諸国のTV、STB向けのデジタル放送受信モジュールの構築容易化に向け、積極的な拡販活動を行っていく計画とするほか、今後も南米地域向けの製品開発を推進することで、南米地域向けのビジネス規模を2013年に100億円程度へ拡大したいとしている。