GSユアサ、三菱商事、三菱自動車工業、リチウムエナジー ジャパン(LEJ)の4社は、三菱自動車が2009年7月より量産販売している次世代電気自動車(EV)「i-MiEV」に搭載されているEV用リチウムイオン電池の2次利用事業モデル作りを目指し、2010年秋より京都市内で実証試験を開始することを発表した。

これまで4社は、i-MiEVに搭載されているLEJ製のリチウムイオン電池「LEV50」が、高い信頼性と耐久性を有しているほか、出力密度が高いことから、車載用電池としての役割を終えた後も有効な使用用途がないかの検討を進めきており、スマートグリッドにおける太陽光などの自然エネルギー貯蔵や産業用機器の電源など幅広い用途での2次利用が期待できるとの判断に至ったという。

また、GSユアサは、今回の実証実験に併せて、太陽電池とリチウムイオン電池、EV用急速充電器で構成し、太陽電池で得られた電力をリチウムイオン電池に貯蔵し、その電力を用いてEVを急速充電する「PV-EVシステム」を用途開拓の一環として開発した。同システムは、自然エネルギーにて発電した電力をEVに充電し、走行することで、発電からEV走行に至るまでのCO2排出量ゼロが実現可能という特長がある。

PV-EV充電システムのイメージ図

太陽電池で発電した電力でEVへ急速充電し、余剰電力は電力系統へ逆潮流できるほか、太陽電池で得られた電力を貯蔵するリチウムイオン電池はリユース品を使用することが可能。また、太陽電池での発電から蓄電、EVへの充電まで直流電力を使用するため、電力の利用効率が高く、加えてリチウムイオン電池に貯蔵してから、EVへ充電するので、電力系統への負担が少ないという特長がある。

動作モードによる電力の流れ

4社は今回の実証試験に同システムを活用し、電力貯蔵用にi-MiEVで使用済みとなったEV用リチウムイオン電池を採用することで、システムの電池コストの低減と、資源の有効利用を通じた環境負荷の低減を同時に目指していくとしているほか、EV用リチウムイオン電池の2次利用事業モデルのイニシャル・モデルケースとして実施する今回の実証試験を通じて、事業化に向けた検討を進めていくとしている。