ARM、IBM、Samsung Electronics、GLOBALFOUNDRIESおよびSynopsysの各社は共同で、32/28nmプロセスに最適化した垂直開発プラットフォームを発表した。同プラットフォームそのものは2009年のDAC(Design Automation Conference)で発表されたものであり、各企業は2010年6月24日より開催される47th DACでデモを行う予定。

同プラットフォームは、以下の要素から構成される。

  • 高性能/低消費電力のProcessor IPコアおよびフィジカルIPコアがARMより提供される。
  • 開発ツール、ConnectivityのIP、および統合デザインフローツールがSynopsysから提供される。
  • 32/28nmの低消費電力プロセスがCommon Platform allianceのメンバーであるIBM/Samsung/GLOBALFOUNDRIESから提供される。このCommon Platformの32/28nmプロセスはHigh-K Metal Gate(HKMG)を利用したものになる。

32nmプロセス向け技術は、Area Optimizationを行うことでそのまま28nmでも利用できる。このため、32nmを利用する顧客は28nmに移行するにあたり、大きな再デザインを必要とせず、低リスクで低価格かつ迅速なTTM(Time to Market)を実現できる。

今回の包括的なソリューションのデモは、プロセス微細化に伴い複雑化するSoCデザインにおける共同開発での、半導体メーカーの重要な役割を示すものになる。このプラットフォームの中で

  • ARMは高性能・低消費電力なCortexプロセッサアーキテクチャと、スタンダードセルや電力管理キット、メモリコンパイラやインタフェースIPを含む、32/28nm HKMG向けに最適化されたフィジカルIPを提供する。ARMの提供するIPは、システムの省電力化とシステムコスト低減に効果がある。
  • SynopsysのLynx Design Systemは、設計中の物理検証を可能にするIC Validatorと組み合わせたGalaxy Imprementationプラットフォームと、Synopsys DesignWareインタフェースIPを利用する。このRTLからGDSIIへのインプリメントを行うソリューションでは、特にARM Cortexプロセッサを使ったSoCデザインを32/28nm HKMGプロセスで利用する際のリスクを減らし、トータルのデザインコストを低く抑えられる。
  • 10種類のテストチップが3通りの32/28nm HKMGプロセスで製造される。これらのテストチップは、Common Platform PDK、ARMのフィジカルIPやCortexプロセッサ、SynopsysのインタフェースIPなどを含むデザインプラットフォームの検証に役立ち、顧客の迅速なシリコン製造に繋がることになる。

32nm Low-power HKMGプロセスは現在Samsungが量産クオリティに達しており、一方28nmのLow-power HKMGプロセスはGLOBALFOUNDRIESとSamsungで2011年第1四半期に量産クオリティに達する予定だ。32/28nmのHKMGはゲートファーストで製造され、45/40nm世代のテクノロジに比べより高い性能とより低い消費電力を実現できる。28nm Low-Power HKMGプロセス上で製造される、次世代のモバイルデバイス向けに標準化されたプラットフォームは、Common Platform allianceに加盟する複数のファウンドリで安定して製造ができることになる。