宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月16日、2010年5月21日(日本標準時)に種子島宇宙センターから打ち上げた小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」が、6月14日に実施した分離カメラ実験によって、ソーラーセイルが展開された状態(展帳状態)のセイル全景の撮影に成功したことを発表した。

分離カメラからの映像(提供:JAXA)

分離カメラは2台用意されており、いずれも直径約6cm、高さ約6cmの円柱形状で、バネにより本体から放出され、撮影した画像を無線で本体に送る仕組みとなっている。しかし、小型のため、バッテリしか積んでおらず、バッテリ切れを起こすと電波の送信は不可能となるため、実働は15分程度で、IKAROSから数10m程度離れる程度の間に本体に画像データの送信を続けながら撮影を行った。

分離カメラ1号機(DCAM1)。この受信アンテナに1、2号機ともに画像データを送信する(提供:JAXA)

分離カメラ2号機(DCAM2)。今回飛ばした分離カメラ(提供:JAXA)

カメラ本体(DCAM1/2共通)(提供:JAXA)

分離されたカメラは、撮影を終えると稼働状態を終えるが、その後も世界最小の人工惑星として太陽の周りを飛び続けることとなる。

IKAROSにおける分離カメラなどの位置(提供:JAXA)

なお、JAXAではミニマムサクセスを経て飛行を続けるIKAROSを継続して運用し、薄膜太陽電池による発電の状態の計測や、光子圧を用いた加速およびそれによる軌道制御の実証を行うことで、ソーラーセイルによる航行技術の獲得を目指すとしている。

分離カメラの撮影イメージ。DCAMは太陽電池パネルの端の方に太陽に向かって取り付けられている(提供:JAXA)

箱の中の分離機構を動かすとカメラが太陽方向に飛び出し、IKAROSが回っているために真上ではなくて斜めの方向に飛んでいく(提供:JAXA)

飛び出したカメラは写真を撮りながら無線電波を使ってIKAROSに写真データを送り続け、電波を受け取ったIKAROSは写真データを一度自分の中に記録した後、地球に送信する

飛び出したカメラはバッテリしか持っていないため、電池がなくなってしまうと稼働することができなくなる