ARMは、ソフトウェア・デバッガとハードウェア支援検証システムを接続する仮想リンクとして仮想デバッグ・インタフェース「ARM VSTREAM」を発表した。これにより、システム設計の早期における効率的なソフトウェア開発が可能となり、ハードウェア・リソースの利用率を高め、新しいARMプロセッサ搭載機器のプロジェクト・リスク軽減と製品化期間短縮を実現できるようになると同社では説明している。

VSTREAMと「ARM RVD」デバッガなどのソフトウェア・デバッガの組み合わせは、検証システム上で動作するプロセッサに向けた応答性の高いグラフィカルなデバッグ環境を実現することが可能で、デバッガを通じて、プロセッサを停止させること、プロセッサ内部レジスタやシステム・メモリの値を参照あるいは変更すること、コードをシングル・ステップ実行することが可能となり、規模の大きなソフトウェア・イメージも数秒でメモリにダウンロードできるようになる。

また、RTLへのトランザクション・ベース接続を実装しているため、外部のハードウェア機器を物理的に接続する必要はなく、このためハードウェア支援検証環境のセットアップとメンテナンスのコストが低く、複数のリモート・デバッガ接続を処理する際の柔軟性を高めることが可能だ。

ARM Cortex-A5、ARM Cortex-M0プロセッサを含め、現行のすべてのARM Cortexプロセッサをサポートしているほか、複数のデバッガをターゲットに同時に接続できるため、Cortex-A9 MPCoreプロセッサをベースとしたデバイスをはじめとする、マルチコア・デバイスの開発にも対応する。

なお、同インタフェースは現在、Cadence Design SystemsのPalladiumシリーズとPalladium XPエミュレータ、およびMentor GraphicsのVeloceエミュレータとの併用向けに提供がおこなれており、他のEDAツールのサポートは、2010年後半に追加される予定となっている。