7月12日~7月29日に東京・赤坂の赤坂ACTシアターで「赤坂大歌舞伎」が上演されることとなり、出演者代表・中村勘三郎と同舞台の演目『人情噺文七元結』の補綴(ほてい)を務めた山田洋次監督が製作発表会見に出席した。

「赤坂大歌舞伎」の製作発表会見に出席した、中村勘三郎(右)と山田洋次監督

2008年8月に、同所で喜劇『江戸みやげ 狐狸狐狸ばなし』と歌舞伎舞踊『棒しばり』を上演し、多くの絶賛を浴びた「赤坂大歌舞伎」。今回は、落語家・三遊亭円朝の口演を原作とした、博打好きの放埓者・長兵衛と彼を取り巻く人々の笑いあり涙ありの人情喜劇『人情噺文七元結』と、鷺の化身の恋の苦悩を踊りで表現する歌舞伎舞踊『鷺娘』が演目となっている。

2008年に新橋演舞場の十月歌舞伎公演で上演、さらに同年にシネマ歌舞伎としても上映された、山田監督による『文七元結』。中村は2年前を振り返り、「監督の脚本は、従来と違っていて、私はずっとやってきたもので慣れていましたから最初は違和感があったんです。でも、シネマ歌舞伎で観てみたら、自分の芝居なのに大笑いしてしまって。そんなことは初めてで、監督の言う通りやって正解だったと思いました」と絶賛。「赤坂大歌舞伎は、初めて歌舞伎を観るという人も多いので、わかりやすい喜劇を選んでいます。笑いだけでは無くて涙もあるものがいいと思ったときに、山田監督とやった『文七元結』が思い浮かびました」と、今回の演目を決めた時のことを明かし、「博打ばっかりやっていて、(髭や髪を)剃るのも面倒くさいというような男の役なんで、今回の上演では、よりしょぼくれた感じを出すつもりです。より磨きをかけていますので、是非楽しみにしていてください」と舞台をアピールした。

和田アキ子が「20人くらい従えて観に行く」と約束してくれたと言う中村は、「来てくれたときにはアドリブかましてやろうと思っています(笑)」と取材陣を笑わせた

中村の馴染みという赤坂芸妓たちも、上演を祝うため駆けつけた。中村は嬉しそうに笑いつつも、「大変なんですよね、その格好するの。しかも昼間から…」と恐縮

また、山田監督も「元々『文七元結』は好きで、それだけに"もうちょっとこうしたらもっと良くなるのに"というところもあった。落語だと最後にホロリとくるんですが、歌舞伎は段取りを踏みすぎていてしまらないところがあって。それを中村さんに話したら、『直してください』と言ってくれて、補綴することになりました」と、中村とのやりとりを披露。「これから更に脚本にも磨きをかけていきますし、前回とは観客層も違って、観客に影響されて芝居も変わってくるのでは。より面白い芝居になると思うので、僕も今から楽しみですごく期待しています」と話した。

『赤坂大歌舞伎』は2010年7月12日~29日、赤坂ACTシアターにて上演