6月4日(米国時間)のニューヨーク証券取引所(NYSE)において、Dow工業平均指数など主要銘柄を中心にマイナス3%超の大幅下落が続くなか、同取引時間中に米AOL株が一時5%超の大幅躍進を見せる現象がみられた。英Reutersなど複数の報道によれば、MicrosoftによるAOL買収の噂を受けて買いが殺到したとみられる。

AOL株の同日終値は、最終的に前日比1.33%アップの21.28ドルだったが、他の銘柄が軒並み大幅下落を続けるなかで特異な動きとなっていた。AOLに関しては複数の噂が半年以上前から存在しており、そのひとつが検索エンジンの変更で、現在同社が利用しているGoogle検索から、他社の検索技術への乗り換えを検討しているといわれる。そしてもうひとつが今回話題となっているMicrosoftによるAOLの買収だ。

AOL CEOのTim Armstrong氏は先週開催されたD8カンファレンスで、Google以外の検索技術提携先として2つ以上の候補があると発言している。検討可能な選択肢は実質的にほとんど存在しないため、この中にMicrosoftのBingが含まれていることは確実だ。だがBusiness Insiderによれば、Armstrong氏やAOL戦略に詳しい人物からの話として、話は提携にとどまらず、AOLそのもののMicrosoftへの売却を検討しているのではないかと報じている。

Time Warnerの一部門として存在していたAOLは2009年に同社からスピンオフされ、同年11月にIPOを果たしている。企業としての低迷こそ続いているものの、AOLはポータルサイトとしては大手の一角に君臨しており、MSNやYahoo!に続く大手サイトの1つとして知られている。広告や抱えるユーザー数も依然として多く、Google、Yahoo!、Microsoftが三つどもえ状態で検索市場で争っているなか、第4の勢力としてその存在に注目が集まり、トップ3社がそれぞれに提携を模索していたことでも知られている。MicrosoftがAOLを買収する意図は、単に検索市場でのシェアを拡大するだけでなく、AOLポータルをも取り込むことでGoogleとのインターネットサービスでの競争を有利に進める狙いがあると考えられる。