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米AT&Tは6月2日(現地時間)、同社の携帯ユーザー向けのデータ通信料金改定を発表した。同社は現在月額30ドルでスマートフォン向けのデータ通信プランを用意しているが、新料金体系ではライトユーザー向けの料金を安価に設定する一方、2GBを超える通信には従量制を導入するなど、ヘビーユーザー対策が念頭にあるとみられる。また月額20ドルの追加で"テザリング"を可能にするなど、今夏登場予定のiPhone OS 4を想定した内容となっている。
AT&Tは米国でのiPhone独占提供キャリアとして知られているが、一方でユーザーの増加とともにその一部がネットワーク帯域の多くを食い尽くすといった現象に悩まされており、特にニューヨークやサンフランシスコなどの大都市部でのネットワーク品質低下が大きな問題となっていた。そのため、米AT&Tワイヤレス部門CEOのRalph de la Vega氏などをはじめ、同社幹部らがこうしたヘビーユーザーへの容量キャップ導入による従量制への移行を最近になりたびたびほのめかしていた。同社を含め、これまで音声通話が中心だった米携帯電話業界において、データ通信定額はごく自然なものだった。最大手の1社であるAT&Tの従量制導入をきっかけに、業界全体が方針を転換する可能性もある。
今回AT&Tでは、「DataPlus」「DataPro」という2つの料金プランを用意している。DataPlusでは上限200MBまでの通信が月額15ドルで提供されるというもので、これは電子メールにして1000通(添付ファイルなし)、Webサイトにして400ページ、写真で50枚、ストリーミングビデオで20分程度だという。もし1カ月の料金サイクル内で200MBを超過した場合、さらに15ドルの課金で200MBの容量が追加される。一方のDataProは上限2GBに対し25ドルという価格が設定されており、DataPlusに10ドルが付加されることで容量が一気に10倍になる。こちらも2GBの容量を月額料金サイクル内で超過すると、25ドルの追加課金で2GBの容量が加算される。AT&Tによれば、DataPlusの設定する200MBの容量キャップで全体の65%のユーザーが、DataProの2GBで大多数のユーザーが月内の容量制限内に収まるという。そのため、現時点で30ドル(スマートフォン以外の軽量定額プランは15ドル)で一律に行われている料金設定が廃止されることで、多くのユーザーは割引きの恩恵を受けることになると説明する。一方で上限値を設定して通信量の無制限をなくすことで、ヘビーユーザーへの牽制を狙っているといえるだろう。
このヘビーユーザー対策を念頭に置いた新しい料金プラン設定は、テザリングの導入を念頭に置いたものとみられる。同社はつい先日、ネットワーク事情の改善によりテザリング解禁計画を打ち出していたが、従量制の導入はそれを後押しするものとなる。特にテザリングはネットワーク容量消費が激しくなるため、あらかじめ上限を設定することで先手を打った形だ。冒頭のように、テザリングを利用するユーザーには前述のDataProの月額25ドルに加え、20ドルのテザリング・オプションを追加する必要がある。45ドルで2GBという縛りこそあるものの、iPhoneなどのスマートフォンを手軽にPC用のインターネット・ルータとして活用できる。AT&TやVerizon、Sprint等の大手キャリアがPC向けのデータ通信カード料金を月額60ドル程度の5GB容量制限で提供していることを考えれば、この設定は市場価格からはそれほど大きく乖離していない。
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AT&Tでは各ユーザーが携帯電話の利用状況を細かにホームページ上で確認できる。画面は筆者の利用例だが、Nexus OneをGSM回線で使っているため、ほとんど容量を消費していない。通話時間に至っては待ち受け専用回線のため、1カ月の通話時間がわずか8分だ。そのため通話時間のロールオーバーがほぼ上限に達している |
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とはいえ、容量制限の導入は今後しばらく大きな議論を呼ぶことになるだろう。以前にも米国では大手ISPらがインターネット利用ユーザーに対して容量キャップ導入を宣言しており、これが大きな問題に発展している。こちらは設定容量を超過すると、警告が送られた後、改善がみられないようであればサービス停止といった段階を踏むことになる。サービス停止ではなく従量制で使い続けることが可能なぶん、AT&Tのほうがある意味で良心的といえるかもしれない。AT&Tの場合、定額プランの容量制限の65%、90%、100%に達した場合、それぞれの段階で警告メッセージが送信されるようになっている。またAT&Tでは現在の通話時間や使用データ容量、利用状況の詳細などがホームページで細かく確認できるようになっており、ユーザーらに対してこれらツールの活用を促している。月ごとの利用状況をグラフ化して比較することも可能なため、自身に最適なプランがどれかはある程度想像がつくだろう。
なおAT&Tによれば、この新料金体系導入は6月7日から行われることになっている。既存の月額30ドルのスマートフォンプランを選択したユーザーは新料金体系に移行する必要はなく、そのまま使い続けることが可能だ。だが新規ユーザー等、7日以降に同プランを契約するユーザーは新料金体系が適用されることになる。6月7日は新型の第4世代iPhoneがAppleから発表されることが予想されているため、テザリング導入と合わせて新iPhoneへの対応を狙った発表だとみられる。またiPad向けの月額29.99ドルでデータ通信無制限というプランは、この月額25ドルで2GBの上限つきプランへと移行することになる。
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