東京工業大学(東工大)が2010年秋の稼働を予定している次世代スーパーコンピュータである「クラウド型グリーンスーパーコンピュータTSUBAME 2.0」について、同大はNECとHewlett-Packard(HP)の企業連合が落札したことを発表した。

TSUBAME 2.0は2006年4月より稼働しているTSUBAME 1.0の後継となるスーパーコンピュータで、同大の学術国際情報センター(GSIC)が中心となってTSUBAME 1.0をベースに高性能科学技術計算(HPC)のシステム構築研究を進め、その成果をもとに国内外のコンピュータメーカーと2年近く共同開発してきた。

具体的な構築について、共同開発各社の中でNEC・HP連合が政府調達による入札で落札。その理論最高性能は2.4PFlopsを達成するものであり、TSUBAME1.0に比べ30倍の性能を実現することとなり、スパコンランキングとして年2回発表されるThe Top500においてトップクラスの性能を得る見通しとなっている。また、Top500のほか、DARPA HPC Challengeベンチマークや大規模スパコンの省電力性能の世界ランク(The Green 500)、およびスパコンを用いた実用的な科学技術計算で優れた性能を達成したグループに与えられるACM Gordon Bell賞などの分野でも世界一を目指す予定としている。

具体的な構成としては、約2,900ソケットの「Intel Westmere EP」+「Intel Nehalem EX」に内包された約1万7,000個のCPUコアによる「スカラ演算」と、約4,200枚のFermiコアを採用するNVIDIA Tesla GPGPUに内包された約188万個の演算コア(CUDA Core)による「ベクトル演算」が組み合わさった「ベクトル・スカラ混合型アーキテクチャ」を採用。

インターコネクトには、1,400以上の計算ノードがすべてハイエンドPCの100倍近い速度(80Gbps)で同時通信を行ってもネットワーク上で混雑が生じることがない、バイセクションバンド幅200Tbps以上を実現可能なVoltaireの「フルバイセクション・マルチレイル・QDRインフィニバンドネットワーク」を採用。

これらの組み合わせにより、2.4PFlopsの性能と0.7PBpsのメモリバンド幅を実現する。

また、SSDとHDDを混合する技術により0.66TBpsの合算データI/O性能と、DataDirect Networksの7PB以上の国内スパコンとしては最大規模の容量を実現した高信頼階層ストレージを搭載。OSとしては、LinuxとMicrosoft Windows HPCを両立、および種々のスパコンからホスティングサービスを柔軟に共存させる仮想マシン・クラウド技術も導入することで、TSUBAME 1.0で培われた「みんなのスパコン」の精神をさらに推し進め、国内外の産学官の多くのユーザに性能の提供を図る計画としている。

なお、NECおよびHPと同大の共同によるノード設計および高密度実装技術により、計算ノード部分は200m2の設置面積に収めることが可能となっており、整備性の向上と低コスト化も併せて実現する計画となっている。