証券取引等監視委員会は27日、「金融商品取引業者等検査マニュアルの改正及び『金融商品取引業者等に対する検査における主な指摘事項』のフォーマット改正について」と題する同委員会の寄稿が、日本証券業協会のホームページに掲載されたと発表した。

証券取引等監視委員会は、今年1月から、個別の調査・検査事案から得られる問題意識を中心とした最新のトピックについて、日本証券業協会に定期的に寄稿している。

今回、第5回のテーマとして、「金融商品取引業者等検査マニュアルの改正及び『金融商品取引業者等に対する検査における主な指摘事項』のフォーマット改正について」を、寄稿した。

寄稿によると、証券取引等監視委員会は、2007年9月に「金融商品取引業者等検査マニュアル」(検査マニュアル)を策定し、2010年3月に3度目の改正を行った。今回の改正においては、検査マニュアルの別冊として「信用格付業者検査マニュアル」の策定、外国為替証拠金取引(FX取引)及び証券CFD取引等の有価証券店頭デリバティブ取引(CFD取引)に関する検査マニュアルの一部改正を行った。

FX取引について、過去に外国為替証拠金取引業者の破綻により、顧客から預託を受けた証拠金の返還に支障が生じた事例があったこと、また、監視委がFX業者に対して行った集中検査の結果を踏まえ、2009年4月に金融庁に対し、外国為替証拠金取引業者に対する規制のあり方について、建議を行った(※)ことを踏まえ、関連する内閣府令等の改正が行われた。

※ 具体的内容は、区分管理の方法の見直し、ロスカットルールの制定、適切な保証金の預託及び登録申請時の徴求書類等の見直し

このため、証券取引等監視委員会は、検査マニュアルについても関連部分について所要の改正を行った。

さらに、CFD取引について、個人を相手方とする取引が見られるようになったことを踏まえ、投資者保護に支障がないと認められる取引を除き、CFD取引に分別管理義務が導入されたことから、検査マニュアルについても所要の改正を行ったとしている。

改正の概要は、FX取引については、投資者保護の観点からロスカットルールの整備等の措置が導入されることを受け、各社において適切な対応がされているかを検証していくこととしており、証券検査基本方針にもその旨を記載している。「今回導入された措置は、いずれも投資者保護上重要なものばかりであり、問題が認められた場合には厳正に対応するものと考えられる」(証券取引等監視委員会)。

検証項目は、以下などの内容となっている。

  • FX取引について、ロスカット取引を行うための体制整備と当該取引の適切な実施

  • FX取引について、低スプレッド取引を提供する際のリスク管理態勢の整備

  • FX取引に係る保証金について、区分管理の方法を金銭信託に一本化。また、CFD取引への分別管理義務の導入

証券取引等監視委員会ではまた、「最近、ギリシャの債務問題を発端とした欧州の財政問題への懸念等から為替変動が激しくなっているが、ロスカットの発動などが適切に行われていない場合は、投資者への影響及びFX業者自体の健全性への影響が懸念されるところである」との認識を示し、「今後の検査において、こうした点も検証を行っていくこととしたい」としている。