【レポート】

日本市場に適した電子書籍でアップルに対抗 - ソニー、KDDIらが新会社

 

アップルのタブレット型端末「iPad」の発売を28日に控え、電子書籍市場が大きく盛り上がっている。これまでも電子書籍は提供されてきたが、iPadの登場でそれが加速し、日本における「電子書籍元年」になると見られている。これに対してソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社の4社は27日、電子書籍の配信に関して協業し、事業企画会社を設立して共同で事業を行うと発表した。今年中にもサービスを開始する意向だ。

会見に参加した4社の代表。左から朝日新聞社・和気靖氏、凸版印刷・前田幸夫氏、Sony Electronics・野口不二夫氏、KDDI・高橋誠氏

設立される事業企画会社は、書籍、コミック、雑誌、新聞などのデジタルコンテンツ向けの共通配信プラットフォームを構築、運営するのが目的。出版社や新聞社らが持つコンテンツの収集、電子化、管理、販売、配信、プロモーションを行い、さらにそれらのシステムの企画、開発、構築、各社への提供といった事業を行う。資本金は資本準備金を含めて3,000万円で、4社が25%ずつを出資する。7月1日には設立を行い、参加企業を募りながら年内にもサービスを開始したい考えだ。

事業企画会社の目的

米Sony Electronicsシニアバイスプレジデントの野口不二夫氏は、北米と欧州の電子書籍ビジネスを担当していることから、電子書籍ビジネスは「世界的な大きなうねりというぐらいの波がある」と話す。今回の事業企画会社は、「日本市場にあった電子書籍ビジネス」を目指しているという。

野口氏は、事業企画会社の目標を「いつでもどこでも、読みたい電子書籍を手軽に楽しめる機械を読者に提供し、国内電子書籍市場の発展を目指す」としており、さらに国内だけでなく世界市場も想定しているそうだ。

事業企画会社が構築するのはコンテンツ配信のためのプラットフォームで、企業に依存しない「オープンなプラットフォーム」となる予定で、関係するさまざまな企業の参加を呼びかける。

サービス開始時点までにさらに多くの企業の参加を呼びかける

「ここ数年、出版業界は縮小を続けていて厳しい」(凸版印刷 取締役経営企画本部長・前田幸夫氏)状況で、電子化の流れは避けられない「大きな波」(同)だ。その中で、凸版印刷は、出版31社からなる「日本電子書籍出版社協会」を中心とした出版社の意向を尊重しながら、プラットフォームの構築に向けて協力していく考えで、事業企画会社の取締役も派遣する。出版社では、講談社、小学館、集英社、文藝春秋が賛同するほか、今後各出版社にも接触を図るそうだ。

新聞社から参加する朝日新聞社のデジタルビジネス担当・和気靖氏は、電子書籍の成功するかどうかは、「読者に支持されるか否か」と話し、さらに「紙とデジタルが対抗軸ではなく、2つをプラスサムにできる」と電子書籍にも注力していく考えを示す。

ソニーでは、北米や欧州で展開してきた電子書籍ビジネスのノウハウを、日本に適したビジネスモデルに変換し、今回設立する事業企画会社とともに市場拡大を図りたい考えだ。海外で電子書籍リーダー「Sony Reader」を展開しているが、これに伴い、「年内に(電子書籍向けの)商品を発売する予定」(野口氏)だ。

通信会社のKDDIでは、これまで携帯電話向け電子書籍サービスを提供しており、従来のビジネスに加え、「スマートフォンや電子書籍専用端末も開発し、積極的に投入していく」(取締役執行役員常務グループ戦略統括本部長・高橋誠氏)考えだ。

オープンプラットフォームの構築を目指すため、参加企業は広く募る考えで、電子書籍の配信先は、制限は設けない見込みで、たとえばiPad、携帯電話、スマートフォンなど、複数の配信先に提供できるようになるようで、コンテンツプロバイダ側にとってコンテンツを出しやすい仕組みの構築にポイントを置いているという。

ただ、実際にどのようなコンテンツが、どの程度の量が出てくるか、どういったか価格帯になるかなど、具体的な部分は決まって折らず、今後詰めていく。

4社の代表は、繰り返し「安心してコンテンツを提供できる仕組み」と話し、コンテンツプロバイダ側にとっても、ユーザー側にとってもメリットの高い電子書籍ビジネスを実現したい考え。

ソニーは、1990年に「データディスクマン」を発売し、早くから電子書籍ビジネスを展開してきたが、野口氏は「電子書籍の注目度は(当時と)まったく違う」と指摘。電子書籍の認知度が高まったことで、「機が熟した」(野口氏)という認識だ。野口氏は、「コンテンツの数とクオリティが伴わないと読者は満足できない。そのためには、きちんとコンテンツを提供できる仕組みを作らなければならない」と強調。「権利者の利益を守りながらコンテンツが届けられる」(同)仕組みを構築し、複数のブックストアが運営できるようにするという。

野口氏は、「iPad対抗というよりは、今が電子書籍に参入するタイミング」と話すが、高橋氏が「1社でやるよりも、配信先を広げることでたくさんのコンテンツが集まる」と指摘するように、アップルのみがシステムとハードウェアを提供するモデルに対抗する形になりそうだ。また、高橋氏は、「Amazon.comのように、一度購入したら、複数の端末で読めるクラウドサービスはやりたい」と話しており、将来的にはそうした方向性も検討していく見込みだ。

「出版物は最も歴史の長い文化。密接に結びついているので、大げさに言えば、電子化は文化の継承」と野口氏。日本の文化に根ざした電子書籍ビジネスについて野口氏は、「日本市場に適した形を作っていきたい。そして国内にとどまらず、電子書籍ビジネスを世界に拡大していきたい」と意気込んでいる。

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