金融庁は27日、日本振興銀行に対し行政処分を行った。同処分では、1億円を超える大口融資や債権買取業務、融資・預金に関する勧誘業務などについて、2010年6月7日から9月30日まで停止することを命令。また、法令等遵守態勢・顧客保護等管理態勢とそれに関連する経営管理態勢の抜本的再構築を行うことなどを命令している。

金融庁は、行政処分の理由として、重大な法令違反などが認められたこと、また、経営管理態勢・法令等遵守態勢・信用リスク管理態勢などに関して、業務の適切かつ健全な運営を実行する上で重大な問題が認められたことを挙げている。

金融庁では、重大な法令違反として、以下などを挙げている。

  1. 日本振興銀行の特定の役職員らが、検査資料として検査官に業務メールを提出するに当たって、事前にメール保管先サーバに接続し、同サーバ内に保管されていた電子メール群から、特定の電子メールを意図的に削除したものと認められた。削除メールからは、貸金業者からの債権買取に関する出資法違反の強い疑いなどの重要な検査指摘につながる事実や、親密先企業の管理実態などが確認された。

  2. 特定企業への融資の実行に関して、取締役の過半数を自らの推薦する者とすることを条件とした上で、当該条件の不履行を理由として追加担保の差入れを要求。優越的地位の濫用(らんよう)に違反する行為があった。

  3. 貸金業者(商工ローンのSFCG)から債権を買い取るにあたり、事前に、一定期間経過後、当該債権を一括再譲渡する旨の合意を結び、これに基づき当該債権を貸金業者に再譲渡したが、当該取引は経済的には信用供与の実態を有することから、受領した買取手数料が実質金利とみなされ、出資法に違反する強い疑いがある。

  4. 業務委託先の一部社員が、日本振興銀行の融資に係る勧誘・説明といった営業行為を行っており、委託先が無許可での銀行代理業にあたるおそれがあるが、当該営業行為が銀行代理業に該当するかを含め、日本振興銀行ではリーガル・チェックを行っていないこと。

金融庁では上記の1について、削除されたメールは相当多数あり、メール削除は日本振興銀行の業務の実態把握の深度に大きな影響を与えており、銀行法に定める「検査忌避等」に該当する法令違反行為であると認められるとしている。

また、上記の2に関しては、追加担保の差入れを要求された企業は、要求された後、取締役の過半数を日本振興銀行の推薦する者としたという。

また、上記3については、債権の額は約100億円、実質金利とみなされた買取手数料は、出資法が定める上限金利(年29.2%)を大きく上回る年45.7%にのぼるとしている。

27日に金融庁が日本振興銀行に対して行った行政処分では、(1)1億円超の大口融資(ただし、既往顧客の借換えは除く)及び債権買取業務、(2)新規業務(新商品の販売・勧誘を含む)、(3)融資・預金に関する勧誘業務(広告・宣伝を含む)、について、2010年6月7日から9月30日まで停止することなどを命令。金融庁では、今すぐではなくなぜ6月7日からかという点について、広告・宣伝などをやめる場合には準備期間が必要なため、などとしている。