NTTドコモの山田隆持社長は、28日に開いた2009年度連結業績発表の席上、iPadで3Gによる通信利用が可能になる「ミニSIM」を発売する準備を進めていることについて明らかにした。

iPad向けにミニSIMの提供を公表したNTTドコモの山田隆持社長

すでに米国で発売されているiPad(Wi-Fi版)

山田社長は、「2010年1月27日、アップルがiPadを発表した際に、SIMロックフリーであるということを明らかにしている。アップルストアでiPadを購入した人が、3G回線としてドコモの回線を使いたいというのであれば、回線を提供したいと考えている」として、iPad向けにミニSIMを販売する方向で検討を開始している姿勢を示した。

また山田社長は、この製品を「あくまでもSIMロックフリーであることを前提とした製品」と位置づけ、iPadそのものをドコモショップなどで販売するものとは異なるとしている。

iPadはすでに米国で3日から販売が開始されているが、米国でのiPadに対する旺盛な需要を理由にアップルでは、日本を含む米国以外での発売を当初の4月下旬から5月末に延期している。アップルによると、米国内では、初日に30万台、最初の1週間で50万台のiPadを販売。今後、出荷を開始するiPad 3G+Wi-Fiモデルについても、当初予定としていた4月末の納期分まで「数多くの予約がある」としている。

同社では、5月10日に米国以外での価格を発表し、日本でもオンライン受付を開始する予定だ。

一方、山田社長は、スマートフォンに関する展開にも言及し、「1日から発売したXperiaは、20日時点で10万台を超える売れ行きとなった。これまで当社が発売したスマートフォンのなかでは一番の売れ行きとなっている。今年秋にはAndroid 2.1にバージョンアップする予定である」としたほか、「今後もスマートフォンのラインアップは拡充していく考え。端末、料金、コンテンツという三位一体で、スマートフォンの利用者拡大に向けた環境整備を進めていく」とした。

具体的な取り組みとして、1日から、スマートフォンにおけるドコモマーケット対応を実現。そのほか、iモードメールアドレスへの対応を2010年度半ばまでに行い、年度内にはおサイフケータイの対応を一部機種で行う考えを示した。

山田社長は、「2010年度のスマートフォンの市場規模は300万台と想定している。そのうちドコモとして100万台を売りたい」と意欲をみせた。また、「スマートフォンの販売台数増加が寄与することなどにより、2010年度は、携帯電話全体で1,820万台の販売を計画している」とした。

なお、NTTドコモが発表した2009年度連結業績は、営業収益は前年比3.7%減の4兆2844億円、営業利益は0.4%増の8342億円、税引前利益は7.1%増の8362億円、当期純利益は4.9%増の4948億円となった。また、2010年度連結業績見通しは、営業収益が前年比1.5%減の4兆2220億円、営業利益は0.7%増の8400億円、税引前利益は0.8%増の8430億円、当期純利益は0.4%増の4970億円とした。