米国SPX株価指数

FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。ソブリン・リスク懸念により世界的にリスク回避傾向が鮮明になっている。SPX500種は、米金融当局者が同国内の経済状況を探る上で重要視していることもあり、今後の動向が気になるところだが、米市場は、これまで数々のショックを吸収しながら右肩上がりのトレンドを形成している。

背景には、色々問題は抱えながらも新興国が成長エンジンとなり世界的に景気が回復基調にあることが挙げられる。その影響が製造業を中心に、ハイテクや資源さらには企業間取引の活発化は金融セクターにも波及し、現在の好業績から来期の見通しまで強気の内容が目立つ。

本日も、様々なセクターで主要企業の決算が発表予定となっており、米FOMCを見極めた後、上記ファンダメンタルズに回帰した業績相場へと移行する可能性も考えられるため、米株式を売り一辺倒で考えるのはかえってリスクを伴う可能性も考えられる。

テクニカルで見ると、今回のソブリン・リスクにより、短期サポートライン&25日MAはブレイクしている。ただ、目先の1180ポイントにも達していないことから、未だポジション調整の範囲内といったところだろう。

このまま下落基調が強まれば、上記1180と重なる23.60%戻しを試す展開となろう。 ここで反転すれば、再び25日MA&1200ポイントのラインを再び試す展開になると思われる。

しかし下抜けるようなら、ネクストターゲットとして38.20%レベルが浮上する。この水準は3月中旬以降1150ポイントと共にSPX500種をサポートし、1200ポイントのラインを突破した経緯があるため、今回の下落が継続してもそれをサポートする可能性がある。

米国SPX500種株価指数日足

NY原油先物(6月限)

大手格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、ギリシャとポルトガルの国債の格下げに踏み切った。特にギリシャ国債は3段階引き下げの投資不適格(ジャンク)級となる「BBプラス」となり、これを受け投資家は、財政懸念のある国々の国債を売り、ドイツや米国債などの比較的安全とされる市場に投資資金をシフトする動きを強めた。結果、安全資産としての金は大幅続伸となったが、リスク資産としての原油市場は売りの対象として下落。

一方、米4月消費者信頼感指数は前月の52.3から57.9まで上昇し、事前予測53.5を大きく上回った。これは2008年9月以来の高水準であり、米個人消費改善により米景気回復が更に力強さを増すことを示唆する内容となった。

ただ、欧米の株式市場が全面安の展開になったことで、こうした良好な経済指標をもってしても、原油相場を押し上げることに失敗する可能性がある。やはりこの問題はギリシャ一国だけの問題だけでは終わらず、欧州経済の先行きそのものに対する懸念が根強いためと思われる。

上記のことを踏まえテクニカル面を見ると、既に80ドル台は通常の相場環境として周知されており、80ドル台前半では値頃感が強いようだ。

ただ、一目均衡表の転換線&基準線を割れてきており、80ドルの節目が見えてきた。 そこを抜けてしまうと遅行線が実線を割れてしまい、三役逆転になるため、今の流れが続くと見た場合は、80ドルは維持したいところだろう。

また、ボリンジャーバンドでは、-2σに支えられて下髭となって終わったが、注目はボリンジャーバンドが5本とも下を向いてきたことだろう。合わせて4月7日からのミニダウントレンドも生きてきたので、目先はこれにも注意が必要と思われる。

NY原油先物(6月限)日足