米Palmが自身の身売りを含めた今後の戦略プランを模索しているという。米Wall Street Journalが4月12日(現地時間)に報じている。米Bloombergによれば、同社はすでにGoldman Sachs GroupとQatalyst Partnersの2社に身売り先選定の打診をしており、Palm売却が現実のものとなりつつある。

Palm売却の噂は先週半ばからすでに金融界の間でヒートアップしており、同社株価は3月半ばの決算発表以後に落ち込んでいた4ドルの水準から、50%アップの6ドルの水準まで急上昇している。WSJによれば、有力な売却先としては台湾HTCを筆頭として、中国のLenovo、BlackBerryで知られる加Research In Motion (RIM)などの名前が挙がっているという。

元Apple幹部のJon Rubinstein氏がCEOに就任して以降、Palmは「Palm Pre」「Palm Pixi」といった端末を次々とリリースしてユーザーの支持を回復しつつあるが、同社会計年度で2010年第3四半期(2009年12月 - 2010年2月期)決算では販売目標を達成できず、1年前のPalm Preリリース当時の勢いが収束しつつある様子がうかがえる。Palmが同四半期の売上が予測を下回る見込みと2月に公表して以降、10 - 14ドル程度の水準で推移していた株価は6ドルまで下落し、3月18日の決算発表をもって4ドルに急落している。すでに新製品といった手札がないうえ、同社が主戦場としているスマートフォン分野は年々競争が激化しており、会社売却が残された数少ない手段の1つになりつつあるのが現状だ。

Palmを買収する側にとってのメリットは、Palm PreやPixiといった製品ラインだけでなく、業界のパイオニアとして同社が抱える特許の数々が挙げられる。1990年のPDA全盛時代から製品作りを続けてきた同社は、ハードウェアからソフトウェア、サービスまで数多くの特許を抱えている。また省電力に関する特許もいくつか持っており、後発組にとっては非常に大きな武器となる。特にAppleから特許訴訟を起こされているHTCなどは、このPalmの特許を皮切りに強力な反撃を行える可能性もあるだろう。