米Appleが開発中で、今年夏のデビューが見込まれる第4世代iPhoneでは、従来までのGSM/UMTS(W-CDMA)ベースの端末に加え、米Verizon Wireless向けの端末が新たに用意される見込みだという。全米最大手のVerizon Wirelessは、いわゆる「CDMA」系列の携帯ネットワークを展開するキャリアであり、AppleはiPhone初のCDMA対応端末のリリースを計画していることになる。米Wall Street Journal (オンライン版)が報じている

同件については、WSJが関係者からの話として伝えている。これまでにもiPhoneについては何度かCDMA対応の噂が上っては消え、また再び現れるといった具合に続いてきたが、今回の報道では具体的な製造ベンダーの名前も紹介されており、かなり確度が高い情報となっている。

WSJによれば、GSM/UMTS版の製造を担当するのは従来通り「Foxconn」ブランドで製品を展開している台湾のHon Hai Precision Industry(鴻海精密工業)で、Verizon Wireless向けのCDMA端末の製造を担当することになるのは、台湾Asustek Computerの製造部門Pegatron Technologyだという。Pegatronでは9月の量産開始に向けたスケジュールを立てているものの、実際の製品化にゴーサインがでるかは現時点で不明だという。

今回の話題には2つのポイントがある。1つはCDMA対応で、同規格はVerizon Wirelessのほか、米国ではSprint Nextel、そのほか韓国や日本で一部キャリアが採用している。これがそのまま、例えばKDDIのauで利用できることを意味しているわけではないが、Verizon Wireless以外での展開に注目が集まることは間違いない。また第4世代iPhoneのデビューは例年通り6~7月ごろになるとみられるが、前述のようにCDMA版の展開はそれからさらに3カ月以上遅れる可能性がある。

もう1つのポイントは、米国で初めて2つ以上のキャリアでの提供の話が出てきたことだ。英国のように3キャリアでの提供(O2、Orange UK、Vodafone)が行われているケースもある一方で、米国ではローンチキャリアである米AT&TがAppleとの独占契約の下で長らく唯一のiPhone提供キャリアとして君臨してきた。だが、この独占提供契約は2010年第3四半期のタイミングで終了すると言われており、その後の展開に注目が集まっている。

AT&Tでは独占契約継続に前向きだと言われているものの、市場チャンス拡大を考えればAppleにとって契約終了を選ぶメリットは大きい。またCDMA版の提供開始スケジュールが9~10月ごろになる理由も、このAT&Tとの独占提供契約による縛りによるものだと考えられる。