以前にMacBook用の太陽光充電器を紹介したが、屋外での継続的な使用が可能な反面、充電に使う太陽光パネルの展開した面積が1m四方以上など、ある意味アメリカらしいジョークアイテムのような作りだった。だが、25日(米国時間)に米特許商標庁(USPTO)のページに公開された米Appleの新特許によれば、同社は太陽光充電に対応したMacBook製品そのものの開発を計画しているように見える。

公開された特許申請番号は「20100073791」で、「EXTERNAL LIGHT ILLUMINATION OF DISPLAY SCREENS」(ディスプレイ画面の外部照明)という名称になっている。申請自体は2008年9月に行われている。またこの特許についてはPatently Appleの「Solar Powered MacBooks May be in our Future」の記事が詳しい。タイトルと冒頭で「太陽光充電」と書いたものの、実際には「太陽光を利用したバッテリ節約技術」であり、将来的にその機構の一部を利用して太陽光充電が可能になるかもしれない……といった内容だ。

この特許の特徴は2点だ。システム回路の中に「Light Harness」と呼ばれる外部のエネルギーソース(この場合は太陽光)を組み込んだことと、太陽光を液晶スクリーンの表示に利用する仕組みだ。Light Harnessの用途は不明だが、バッテリや電源ケーブルなどと合わせて紹介されていることもあり、将来的に太陽光を電源の1つとできる可能性を持っている。また今回の特許の最大の特徴、太陽光の液晶表示への利用では、本体のパネル部に反射板を設置し、これを展開することで屋外でもバッテリ消費なしに液晶画面の輝度を上げることを可能にする。

今日の液晶パネルでは、有機ELのような自己発光式のパネルでない限り、バックライトと呼ばれる光を背面から当てて液晶の輝度を上げ、ユーザーが視認できるようにしなければならない。そのためバックライトの点灯に電気を食われることになり、これがノートPCでバッテリ消費を早める最大の要因になっている。現在のMacBookでは以前の蛍光管からLEDに照明方法が変わったことで、バックライトの寿命延命とバッテリ消費低減が行われているが、それでもバッテリ消費を早める最大の要因であることには変わりない。

そこで新特許では、MacBookのパネル部を2重構造にし、前面パネルの位置を通常のポジションに据えたまま背面部をさらに展開することで、反射板が露出するようになっている。この反射板に太陽光を当てるようにすると、中央部に立った状態の液晶パネルに均等に光が当たるようになり、日差しの強い屋外でもバッテリ消費なしで液晶の輝度を上げることが可能になる。

これにより、液晶部は半透明状のスクリーンに像が浮かび上がる形になる。一種の「トランスルーセント」な状態だ。反射板はパネル部の保護ケースと一体化しており、これがダメージから反射板を守る保護シートの役割を果たしている。2重化されたパネル部はマグネットなどの仕組みで簡単に着脱可能となっており、これが内部のバックライトと外部光の切り替えスイッチとして利用される可能性がある。壊れやすさなどの安定性や価格面などで不安な面はあるが、モバイラーにはありがたい仕組みだろう。