シンガポールの設計メーカーFusion Garageは、同社製タブレットデバイス「JooJoo」の工場出荷を開始したと発表した。米国でJooJooを事前予約したユーザーは、29日までに端末を入手できる予定という。当初、2009年12月に発表されて「2カ月以内の出荷開始」を約束していたデバイスは提供予定が遅延し、最終的にiPad発売日の4月3日直前にギリギリ滑り込み提供開始という状態になった。

「JooJoo」

タブレット型のデバイスは大手メーカーを含む台湾ベンダーなど各社から発表されているが、JooJooの特徴の1つは、米国ITブロガーによる「200ドル以内のタブレット製品」開発を目指したプロジェクトに起因する点だ。発起人Michael Arrington氏は、ブログメディアとして著名なTechCrunchのエディター兼創業者であり、前述のFusion Garageと共同で「CrunchPad」と呼ばれるプロトタイプの開発を2008年夏ごろから続けていた。当初はLinuxと安価なx86統合プロセッサを組み合わせることで200ドルの価格維持に努めたが、プロトタイピングを重ねるごとに価格ラインが上昇し、最終的に499ドルという価格に落ち着いた。また「CrunchPad」という名称もFusion Garage出資者との交渉の中でTechCrunchの権利が消滅し、「JooJoo」の名称でリブランディングされて製品化となった。

JooJooの機能的な特徴は、12.1型タッチパネルを採用したWebブラウジングや、写真/動画などのメディア再生デバイスという点だ。これはiPadの製品コンセプトに非常に近い。またx86のAtomをプロセッサに搭載し、Linuxをベースとしていることもあり、Flash 10.1をデフォルトでサポートする点も大きい。スペック的にはタブレット型PCと呼べるものになっている。