NECは、100Gデジタルコヒーレント光送受信方式でリアルタイムに長距離光伝送を行うトランスポンダを開発、1,520kmの長距離光伝送区間を100GbEのリアルタイム通信に成功したことを明らかにした。

実証は、Verizonが保有する米国テキサス州北ダラス地区に敷設されている光伝送路を使用したフィールドトライアルに参加して実施。同トライアルでは、新たに開発したトランスポンダを100GBASE-LR4クライアントインタフェースでJuniperのコアルータ「T1600」に接続し、NECのDWDM)装置「DW4200」を用いて、エンド・ツー・エンドでエラーフリー伝送を実証した。

これまでの100Gデジタルコヒーレント光受信方式の研究開発では、受信信号データを測定器でキャプチャ・蓄積、デジタル化した後に、別途PCなどで信号処理を行うオフライン信号処理による伝送特性評価が行われていたが、オフライン評価では、短い時間での評価しか行うことができないため、実運用で問題となる長周期変動による特性変化などの評価が困難であった。

今回開発されたトランスポンダでは、100Gコヒーレント光伝送を実現する光送受信回路により、リアルタイムに伝送特性を評価できるようになったことに加え、誤り訂正符号回路部、イーサネット装置とのインタフェース部も含んでおり、100G信号サービスとしての評価も可能な構成となっている。

なおNECでは、今回のフィールドトライアルにより、100Gデジタルコヒーレント方式の基本機能が実証されたことを受け、今後の実用化に向けて、光回路の小型化、集積化、およびデジタル信号処理部のLSI化による小型化、低消費電力化、歪補償のデジタル信号処理化などのさらなる高機能化といった課題に対した製品開発を行っていくとしている。