日本の出版界として電子書籍市場にどう対応していくのか。大手出版社ら31社で構成される『一般社団法人日本電子書籍出版社協会』は24日、正式な活動開始を発表した。権利関係やフォーマットの整備、紙媒体との共存など、電子書籍の在り方の構築に取り組む。

日本電子書籍出版社協会が正式スタート。前列中央が野間省伸 代表理事(講談社 代表取締役副社長)

日本電子書籍出版社協会(電書協)は24日、会見を開き、正式な活動開始および電子書籍市場への取り組み方針を説明した。代表理事は、講談社 代表取締役副社長 野間省伸氏が務める。野間代表理事は、電書協の活動について "著作者の利益・権利の確保" "読者の利便性に資する" "紙とデジタルの連動・共存" を理念として電子書籍市場に取り組んでいくと説明。電子書籍ビジネスを積極的に進めるためにも、出版社と著者の権利関係や統一フォーマットの整備に取り組んでいく必要があるとした。

米国では、Kindle(米Amazon)など電子ブックリーダの登場にともない電子書籍市場が拡大。従来出版社の"中抜き"という動きもある。野間氏は、出版社が持つ編集や宣伝などの機能、日米の出版市場の違いを指摘する一方、出版社としては新たなデバイスに対するビジネスモデルの提供が必要との見方を示した。また、出版社が担う人材発掘の重要性は、デジタル化の流れの中でも変わらないと説明した。「作家、漫画家などの才能を見つけ出す、才能の拡大再生産こそが出版社の役割」(野間氏)。

電子書籍フォーマットへの取り組みについては、「独自のものを作ることは基本的に考えていない」(村瀬拓男監事)。同氏は、さまざまなフォーマットを検討するほか、印刷と電子出版の工程におけるデジタルデータの融合も課題と話す。「すべての出版社、出版活動を行なう人が、この問題に関して余分なコストをかけずに、中身に集中できる環境」(同氏)を模索したいとした。

電書協は電子文庫出版社会を前身とする団体。前団体による電子書籍販売サイト「電子文庫パブリ」は電書協が運営を引き継ぐ。電書協は当初は、一般書を取り扱う出版社で構成される。参加社は次のとおり。朝日新聞出版/ 学研ホールディングス/ 角川書店/ 河出書房新社/ 幻冬舎/ 講談社/ 光文社/ 実業之日本社/ 集英社/ 主婦の友社/ 小学館/ 祥伝社/ 新潮社/ ダイヤモンド社/ 筑摩書房/ 中央公論新社/ 東洋経済新報社/ 徳間書店/ 日経ビーピー/ 日本経済新聞出版社/ 日本放送出版協会/ 早川書房/ PHP研究所/ 扶桑社/ 双葉社/ ぶんか社/ 文藝春秋/ ポプラ社/ マガジンハウス/ 丸善/ 山と渓谷社。